研究課題/領域番号 |
23241076
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大澤 良 筑波大学, 生命環境系, 教授 (80211788)
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研究分担者 |
半田 高 明治大学, 農学部, 教授 (00192708)
小林 伸雄 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (00362426)
田淵 俊人 玉川大学, 農学部, 教授 (70188407)
水田 大輝 筑波大学, 生命環境系, 助教 (30595096)
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キーワード | サクラソウ / ツツジ / ハナショウブ / ゲノム解析 / 民俗植物学 / SSRマーカー / 古典園芸植物 |
研究概要 |
サクラソウでは、ゲノムリソース充実のため20個のSSRマーカーと40個の一塩基多型マーカーを開発し、園芸品種と野生種の多様性解析を行ったところ園芸品種の多様度が低いことが分かった。さらに、分離集団を用いて、異型花柱性に関するQTL解析を行い、異型花柱性が1つの主導遺伝子と多数のQTLによって構成されていることを明らかにした。 ツツジでは、采咲き・蕊咲き品種を材料として,形態的分析とその形態形成関連遺伝子を解析し,花冠の蕊化変異と多面的狭細化変異に分類し,それらの原因遺伝子MADS-boxCクラス遺伝子の関与について考察した.また,花芽形成と開花関連遺伝子について,品種'大紫'から単離したRpFTなど5種の遺伝子発現時期を解析し,各花器器官の分化との関連性を明らかにした.また、ツツジ園芸品種群の一つであるオオヤマツツジの成立起源について、形態調査とSSR解析ににつく調査を行い、オオヤマツツジは、ヤマツツジとケラマツツジ亜節園芸品種群との間の雑種起源である可能性が高く、種としての分類学的位置づけを見直す必要性があると結論した。 ハナショウブでは、9種のSSRマーカーを開発し、野生集団間の遺伝的多様性および遺伝的分化の把握を試みた結果、ノハナショウブ野生集団内の遺伝的多様性は現在高いレベルで維持されていることが分かったが、近交係数が高い値を示し、今後、ノハナショウブの遺伝的多様性が失われていく可能性があることが示唆された。また、本マーカーは他のアヤメ属植物14種に対して適用可能である。日本各地のノハナショウブの自生地において、形質調査を行い、栽培品種のハナショウブの起源は、日本各地に自生するノハナショウブであることが強く支持される結果を得た。また、玉川大学で所有している江戸時代に育成された栽培品種のハナショウブについて品種分類図鑑を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標とする3種の園芸植物それぞれについてゲノムリソース充実が図られ、その有用性も試験的に証明された。ツツジでは、古典資料の収集が進み、ハナショウブとサクラソウでは電子資料の充実が図られた。
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今後の研究の推進方策 |
サクラソウ 花色変異に関する色素の定量的評価および色素発現遺伝子による変異の解析。 ツツジ 江戸時代のツツジ園芸品種に関する文献を解読・分析し,当時と現存する品種との比較研究を行うことにより,わが国における園芸品種発達に関する方向性を考察する.さらにそれらの関連資料を発行する. ハナショウブ ノハナショウブの自生地が著しく減少しているので、未調査の地域を早急に探索し、地域ごとの遺伝的な多様性調べることが重要である。同時に、管轄当局の許可の元、本学・圃場や温室においてノハナショウブの維持・保護活動を積極的に進めていき、伝統的な園芸植物、ハナショウブの遺伝資源として末永く維持・保存・系統進化などの研究がスムーズに遂行できるようなデータベース化を促進する。
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