研究課題/領域番号 |
23241081
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 博之 京都大学, 地域研究統合情報センター, 准教授 (80334308)
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研究分担者 |
服部 美奈 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (30298442)
西 芳実 京都大学, 地域研究統合情報センター, 准教授 (30431779)
牧 紀男 京都大学, 防災研究所, 准教授 (40283642)
山田 直子 佐賀大学, 国際交流推進セン ター, 准教授 (50421219)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 援助・地域協力 / 災害・防災 / 復興 / 人道支援 / 情報 |
研究概要 |
スマトラ(インドネシア)の災害および東日本大震災に関する一次・二次的な文献資料、および災害復興研究に関わる文献資料を収集した。現地調査については、山本博之はインドネシア・アチェ州、西芳実はインドネシア・アチェ州、服部美奈はインドネシア・西スマトラ州でそれぞれ現地調査を行い、2004年スマトラ沖地震・津波および2009年西スマトラ地震によって被害を受けた地域がその後どのように復興を迎えているかについて、情報、記憶、教育の観点から調査した。山田直子は昨年度に引き続き宮城県で東日本大震災の外国人被災者についての調査を行った。牧紀男は、宮城県および岩手県で東日本大震災の復興過程における生活圏の構成を検証した。 研究会を5月、7月、12月の3回行った。5月の研究会は一般公開のワークショップ「タイ洪水が映すタイ社会―災害対応から考える社会のかたち」として行い、災害を通じて地域社会のかたちを明らかにすることを試みた。7月の研究会は、インドネシア・アチェ州のシアクアラ大学津波防災研究センターから研究者3名を招へいしてワークショップ「災害後社会の再建と情報管理」として実施し、スマトラの災害対応の経験における情報の位置づけを検討した。12月は研究会にあわせて一般公開シンポジウム「記憶の写し絵―内戦・テロと震災・原発事故の経験から紡ぐ私たちの新しい物語」を開催し、アウシュビッツ、東ティモール、バリ島爆弾テロ事件などの事例研究とあわせて東日本大震災・福島原発事故を経た日本社会における社会の亀裂とその修復について検討した。 災害地域情報プラットフォームについては、研究代表者が8月に第95回人文科学とコンピュータ研究発表会で概要を発表し、アーカイブおよび情報学の観点から同システムの意義と課題を検討し、次年度以降の開発において取り組むべき課題を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
災害地域情報プラットフォームは公開に向けて順調に開発が進んでいる。昨年度作られたプロトタイプをもとに、日本とインドネシアそれぞれについていくつかのタイプの利用者を想定して利用画面の開発の段階に入っており、来年度中には一般利用者向けの公開ができる見通しが立った。 災害対応研究に関しては、スマトラの災害対応の経験をもとに他地域の災害対応にどのように関わるかという本研究課題の目的の1つに対し、洪水の事例をもとにタイ社会について検討し、スマトラ以外の地域を対象にした「災害対応の地域研究」を進めることができた。また、東日本大震災の被災地への応用の可能性の検討については、研究分担者の牧を中心に、研究プロジェクトメンバーが岩手県と宮城県の被災地を何度か訪れており、スマトラの経験に照らしながら復興過程を観察している。被災から2年目を迎え、東日本大震災の被災地でも被災と復興の記録と記憶に人々の関心が向けられるようになっており、スマトラの経験をもとに必要な提言を行う準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
災害地域情報プラットフォームの実用化については、引き続きインドネシアのメディア関係者や地方政府などと協力して研究を推進するとともに、利用者のタイプを想定して、実際の現場に即して利用しやすいようなユーザーインターフェイスの開発を進める。アチェの津波モバイル博物館システムはスマートフォンなどのモバイル端末で利用できるシステム作りを目指す。 「メディアと情報」「支援と復興」「社会の再編」「記憶と忘却」の4つのテーマに沿って研究をさらに推進するため、テーマごとに連携研究者や研究協力者を加える。引き続きスマトラを対象に事例研究を行うとともに、岩手県または宮城県でワークショップを行い、スマトラの経験と東日本の経験を結びつけることで「防災スマトラ・モデル」を現実の被災と復興の状況に即したものとして組み立てる。
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