研究課題
今日の東南アジア大陸部の国境をめぐる状況は、経済的越境活動の活発化が見られる一方で、遺跡の帰属に関してタイ・カンボジア間に武力衝突が生じるなど、複雑さを増している。1世紀前の国境線出現に起因して生じた諸制度、政治活動、越境移民、紛争などを「国境政治」と総称すれば、国境政治に関する研究は今日的意義が極めて大きい。しかし、従来の研究は、国境の片側のみの資料に拠った片面的研究であり、しかも断片的である。 本研究の新しさは、既存研究の限界を克服するために、各国の言語・資料に通暁した専門家チームを組織し、諸公文書館資料を横断的、双方向的に調査照合し、かつ実地調査も行うことによって、1世紀に亘る東南アジア大陸部の国境政治に関して既存知識に大幅な追加・修正を加え、初めての体系化を試みることにある。そのため次の調査を実施した。各公文書館等での一次資料収集として、バンコクでは国立公文書館、海軍資料保存所、タイ国立図書館等において、ハノイ、ホーチミンではそれぞれ第1国立文書館、第2国立文書館において、プノンペンではカンボジア国立公文書館において、更にフランス、エクサン・プロヴァンスの国立海外公文書館で資料調査を実施した。各資料館での調査では、1930ー40年代のタイ・仏印国境紛争に関する資料を中心に収集した。とりわけ、バンコクにおける調査では、従来存在が知られていなかった、1940年代のタイ・仏印関係の海軍資料を大量に発掘することができた。また、東京においても外務省外交資料館等で、旅券下付表調査などによって、明治期における東南アジア大陸部渡航者の把握に努めた。これらの資料調査を踏まえて研究成果欄の諸研究を発表した。本調査研究によって収集した大量の資料を利用した成果発表は、2015年度以降も継続するはずである。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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アジア太平洋討究
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