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2011 年度 実績報告書

ケア現場の意思決定プロセスを支援する臨床倫理検討システムの展開と有効性の検証

研究課題

研究課題/領域番号 23242001
研究種目

基盤研究(A)

研究機関東京大学

研究代表者

清水 哲郎  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特任教授 (70117711)

研究分担者 会田 薫子  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特任研究員 (40507810)
竹内 聖一  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特任研究員 (00503864)
キーワード臨床倫理 / 臨床死生学 / 意思決定プロセス / 人工的水分・栄養補給 / 緩和ケア / 高齢者ケア / 医療・福祉
研究概要

(1)臨床倫理検討システムの見直しを、現場に同システムを提供する観点で行い、研究代表者の関心ではなく、医療・介護従事者の関心に合わせて、より明快なものとする検討を行った。その成果は『臨床倫理エッセンシャルズ』(2012年春版)として刊行し、また、ウェブ上で使えるようにし、本研究として開催した臨床倫理セミナーで使用して、医療・介護従事者の使い勝手を調べた(清水・会田・竹内)。
(2)高齢者ケア・介護チームは、清水と会田が、日本老年学会の企画に応じて、高齢者への人工的水分・栄養補給の導入をめぐる意思決定プロセスについてのガイドライン作りに参加したが、その際に、本研究の理論を実際の高齢者ケアの現場で活かすためにはどのようにガイドラインに反映させたらよいかの検討を本研究として行った(実際に本研究の理論を反映したガイドラインを老年医学会のワーキンググループとして公表した)。
(3)本人・家族の意思決定チームは、(2)と連動して、高齢者における人工的水分・栄養補給の導入についての意思決定プロセスを本人・家族が適切に進むことができるよう支援するツール-意思決定プロセスノート(すでに22年度に試行版を作った)の改訂を進め、本研究として理論的側面の検討を行った。成果は、ガイドラインに併せて作成した『高齢者ケアと人工栄養を考える-本人・家族の選択のために』に反映している。また、ALS患者が人工呼吸器を着けるかどうかの選択を支援するツール制作に際して理論面の検討を本研究として行った。これらの制作・改訂に伴って、意思決定プロセスノート汎用版の構想の改訂を進めた。
(4)がん治療・緩和ケアチームは、緩和医療学会の終末期の輸液についてのガイドライン改訂に協力し、本研究の考え方をその倫理面に反映させた。また、本人・家族の生活を支援するガイドブックの企画に、臨床倫理・臨床死生学の視点からの参加をしつつある(田代・清水)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実績の概要で言及した項目については、当初の計画以上に進展している。すでに具体的成果があがっており、ウェブ上のコンテンツの充実は次年度以降に予定されていたものである。他面、ケーススタディチームは、予定されていた担当者(研究協力者)が相次いで妊娠したため、活動が先送りとなった。また、救急救命分野等、対象領域を広げることは年度内には実現できなかった。

今後の研究の推進方策

(1)臨床倫理システムの見直し:共通理解のモジュール化とプレゼンテーションの仕方の適切化を図る。すでに始めたウェブ上での提示の試みも併せ、理論とその提示法とを組にしてブラッシュアップする。
(2)高齢者ケア:人工的水分・栄養補給をめぐるガイドラインを現場で使うようにする試みと本人・家族のプロセスノート改訂とを併せ行い、高齢者ケア全体の中に位置づける。医療・介護の専門家との協働を推進する。
(3)既に作成したガイドラインには汎用性があるので、これを基礎にいろいろな現場におけるトピックについても開発する。
(4)がん治療・緩和ケアについて、家族の看取りを支援するツールの作成へとプロセスノートを展開する。

  • 研究成果

    (18件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (9件) 図書 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 認知症末期患者に対する人工的水分・栄養補給法の施行実態とその関連要因に関する調査から2012

    • 著者名/発表者名
      会田薫子
    • 雑誌名

      日本老年医学会雑誌

      巻: 49-1 ページ: 71-74

  • [雑誌論文] 終末期ケアにおける意思決定プロセス2012

    • 著者名/発表者名
      清水哲郎・会田薫子
    • 雑誌名

      シリーズ生命倫理学第4巻:終末期医療(丸善)

      巻: (印刷中)

  • [雑誌論文] 医療現場における生と死-臨床死生学の視点1~52011

    • 著者名/発表者名
      清水哲郎
    • 雑誌名

      臨床栄養

      巻: 119-2,3,5,6,7 ページ: 185-8,297-303,561-7,671-6,795-800

  • [雑誌論文] 食べられなくなったらどうしますか?認知症末期患者への人工栄養法の実態調査より2011

    • 著者名/発表者名
      会田薫子
    • 雑誌名

      臨床栄養

      巻: 119巻 ページ: 132-133

  • [学会発表] 在宅終末期ケアの臨床倫理2012

    • 著者名/発表者名
      清水哲郎
    • 学会等名
      第14回在宅医学会
    • 発表場所
      ホテルグランドパレス(招待講演)
    • 年月日
      2012-03-18
  • [学会発表] 「高齢者ケアと人工栄養を考える-本人と家族の意思決定プロセスノート」-共同の意思決定を支援するためのツールの開発-2012

    • 著者名/発表者名
      会田薫子
    • 学会等名
      第14回在宅医学会シンポジウム
    • 発表場所
      ホテルグランドパレス(招待講演)
    • 年月日
      2012-03-18
  • [学会発表] 救命限界の追求と終末期医療-臨床倫理と死生学の視点から2011

    • 著者名/発表者名
      会田薫子
    • 学会等名
      第39回日本救急医学会学術集会
    • 発表場所
      京王プラザホテル(東京都)(招待講演)
    • 年月日
      2011-10-20
  • [学会発表] 最期まで希望をもって生きられるか2011

    • 著者名/発表者名
      清水哲郎
    • 学会等名
      死の臨床研究会
    • 発表場所
      幕張メッセ(招待講演)
    • 年月日
      2011-10-09
  • [学会発表] 認知症終末期の人工的な水分・栄養補給法-臨床死生学の立場から2011

    • 著者名/発表者名
      会田薫子
    • 学会等名
      第14回病院歯科介護研究会学術集会
    • 発表場所
      岡山国際会議場(岡山県岡山市)(招待講演)
    • 年月日
      2011-10-09
  • [学会発表] 認知症高齢者の終末期医療に関する患者家族と専門医の意識調査2011

    • 著者名/発表者名
      会田薫子
    • 学会等名
      日本老年医学会東海支部会シンポジウム
    • 発表場所
      名古屋大学医学部付属病院
    • 年月日
      2011-09-17
  • [学会発表] 認知症高齢者の意思決定プロセスと死生の評価2011

    • 著者名/発表者名
      清水哲郎
    • 学会等名
      日本老年医学会東海支部会シンポジウム
    • 発表場所
      名古屋大学医学部付属病院
    • 年月日
      2011-09-17
  • [学会発表] 意思決定プロセスにおける生物学的生命と物語られるいのち2011

    • 著者名/発表者名
      清水哲郎
    • 学会等名
      日本緩和医療学会シンポジウム「緩和ケアにおけるEBMの意義と限界 総合的人間学としての緩和医療学へ」
    • 発表場所
      ロイトン札幌
    • 年月日
      2011-07-29
  • [学会発表] 認知症末期患者に対する人工的な栄養・水分補給法の施行実態とその関連要因に関する調査から2011

    • 著者名/発表者名
      会田薫子
    • 学会等名
      第53回日本老年医学会学術集会
    • 発表場所
      京王プラザホテル(東京都)
    • 年月日
      2011-06-17
  • [図書] 臨床倫理エッセンシャルズ(2012年春版)2012

    • 著者名/発表者名
      清水哲郎
    • 総ページ数
      38
    • 出版者
      東京大学大学院人文社会系研究科死生学・応用倫理センター
  • [図書] 高齢者ケアと人工栄養を考える-本人・家族の選択のために(改訂第二版)2012

    • 著者名/発表者名
      清水哲郎・会田薫子
    • 総ページ数
      66
    • 出版者
      日本老年医学会平成23年度老健事業『意思決定支援ツール』作成WG
  • [図書] 延命医療と臨床現場-人工呼吸器と胃ろうの医療倫理学2011

    • 著者名/発表者名
      会田薫子
    • 総ページ数
      288+iv
    • 出版者
      東大出版会
  • [図書] 研究倫理とは何か-臨床医学研究と生命倫理2011

    • 著者名/発表者名
      田代志門
    • 総ページ数
      xi+223+xxiii
    • 出版者
      勁草書房
  • [備考]

    • URL

      http://www.l.u-tokyo.ac.jp/dls/cleth/index-j.html

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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