研究課題/領域番号 |
23242004
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
丸井 浩 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30229603)
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研究分担者 |
和田 壽弘 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (00201260)
吉水 清孝 東北大学, 文学研究科, 准教授 (20271835)
小川 英世 広島大学, 文学研究科, 准教授 (00169195)
片岡 啓 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (60334273)
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キーワード | インド哲学 / 仏教論理学 / 六派哲学 / 存在論 / カテゴリー論 |
研究概要 |
本研究プロジェクトは、世界認識の枠組みとしての存在論・カテゴリー論のインド的展開を解明する、世界でも初めての本格的共同研究である。その目的は、世界の第一線で活躍する日本のインド哲学研究者を結集して、いわゆる「六派哲学」を中心とするインド哲学諸派における〈存在〉をめぐる議論を、文献実証的方法に基づいて各派固有の理論的展開を研究すると同時に、学派横断的・比較哲学的な視点を導入して共同研究することにより、インドにおける存在論の全体像を明らかにすることである。初年度に当たる本年度は、まず、研究分担者・連携研究者を中心とする執行会議を数回にわたり開き、約30名に及ぶ研究者の組織化を行った。研究代表者が所属する東京大学に総括班を置き、特任研究員を1名雇用して、本研究活動の運営・組織化の強化・促進を図る体制を確立した。まず本年度の初頭に、メーリングリストとウェブサイトを開設した。研究活動は4班7チームに分かれて個別に研究会を継続的に開催し、ラグナータ著:『存在カテゴリーの本質の解明』、ウマースヴァーティ著『タットヴァ経』、サッディヨージョーティシュ著『真理綱要』等の組織的解明がスタートしたほか、各班員の個別研究も活発に行われた。それらの成果は最終的には出版物として公開する予定であるが、第一弾の成果はすでに8月に信州大学で開催した合同研究会にて発表・討議された。この合同研究会では、ヨーロッパで研究している日本人研究者を2名招聘し、次年度以降の国際連携の基盤強化を図った。また、本年1月の国際サンスクリット学会(デリー)では多数の研究分担者・協力者が研究成果を発表した。加えて、この学会参加は、研究者間の国際ネットワークの強化にも資するものともなった。これに加え、日本印度学仏教学会(京都・龍谷大)、インド思想史学会(京都大)等の国内学会でも、研究協力者らにより各種の研究発表が行われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本企画による成果発表の点数は、当初の期待を大きく上回った。プロジェクトチームの組織化が功を奏し、研究分担者・協力者らの意欲的な研究につながったと考えられる。一方、国際連携の課題として当初予定していたE・プレッツ博士(オーストリア科学アカデミー)の国際ワークショップとの連携は、東日本大震災の影響もあって、このワークショップが24年度に延期になったため、それに合わせて24年度に改めて連携計画を組みなおすことになった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度と同様、研究班およびその下位区分であるチームを主体とした連携研究及び個別研究を推進するほか、夏には引き続き第2回合同研究会を開催するなどして、個別的な成果報告と全体討議に加えて、著名な西洋哲学研究者等を招いて、西洋哲学(分析哲学)や神学等における存在論に関する講演・討論を企画し、比較思想や学際的な視点も積極的に取り入れていく予定である。現状のウェブサイトは、そのコンテンツの多くがプロジェクト内部に向けた限定的公開の状態にあるが、次年度以降は一般公開するコンテンツを増やし、研究成果を逐次社会に還元していく。
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