研究課題/領域番号 |
23242011
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
長田 年弘 筑波大学, 芸術系, 教授 (10294472)
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研究分担者 |
布施 英利 東京芸術大学, 美術学部, 准教授 (10229081)
水田 徹 東京学芸大学, 教育学部, 名誉教授 (30055917)
渡辺 千香子 大阪学院大学, 国際学部, 准教授 (40290233)
桜井 万里子 東京大学, 人文社会系研究科, 名誉教授 (90011329)
金子 亨 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90233882)
師尾 晶子 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (10296329)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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キーワード | 美術史 / 西洋史 / 西洋古典 / 考古学 / 国際研究者交流 / ギリシア / 連合王国 / アテネ |
研究概要 |
パルテノン彫刻に関して研究調査を進めた。オリエントの視点から、パルテノン彫刻の閉塞的な研究状況に対して、新しい問題提起を行った。大英博物館において、研究成果の常設展示を行うことができた。具体的には下記のとおり。 (1)2012年10月から11月にかけて、大英博物館および新アクロポリス美術館においてパルテノン彫刻の調査と撮影を行った。(2)同年11月1日に大英博物館において、日英研究者の参加する研究セミナー「大英博物館パルテノン彫刻ワークショップ」を開催した。(発表 河瀬侑 櫻井万里子 篠塚千恵子 高橋翔 福本薫 水田徹 山本悠貴 渡辺千香子)(3)パルテノン・フリーズ東面神々の場面の立体モデル制作を行った。この研究成果について、同年10月より、大英博物における教育展示Parthenon Nowにおいて、常設展示を行った。2013年4月終了予定。(4)12月1日に、連合王国よりJ. Barringer教授を招へいし、公開シンポジウム「講演と研究発表 古代ギリシアの祭礼と美術に関する考察」を開催した。(発表 長田年弘 櫻井万里子 J. Barringer)(5)同年4月にオーストリア、グラーツにおいて開催された第14回オーストリア古典考古学大会において成果発表を行った。(発表 長田年弘 田中咲子)(6)同年11月に東北大学において開催された、西洋史研究会大会において研究成果発表を行った。(発表 長田年弘)(7)同年6月に筑波大学において研究例会を行った。(発表 中村るい 福本薫 布施英利)(8)同年12月に、京都ギリシアローマ美術館およびMIHO Museumにおいて、古典期アテナイ陶器画その他に関してグラスゴー大学J. Barringer教授と共同調査を行った。(9)その他、学術雑誌において研究成果発表を行った。(10)ホームページを開設し、研究成果を社会に発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パルテノン彫刻に関して、オリエントの視点から、閉塞的な研究状況に対して新しい問題提起を行った。美術史学と歴史学の異なる領域において、問題意識を共有した。オリエント美術史研究者を新しく構成員に迎え、パルテノン神殿を再考察することによって、パラダイムを組み換え研究領域の拡張を試みることができたと考える。また、併せて海外美術館、研究者との交流を堅持した。 (1)大英博物館と新アクロポリス美術館における調査撮影を実施した。(2)大英博物館において、研究成果を常設展示することができた。(3)オーストリア、連合王国など、国内外の学会において研究成果を発表した。(4)国内美術館(京都ギリシアローマ美術館およびMIHO Museum)において、古代ギリシア美術に関する共同調査を海外研究者と共に行った。(5)ウェブ上にHPを開設し、研究成果を発信することで社会還元を行った。 とりわけ、パルテノン・フリーズの東面神々の立体モデル復元は、美術史学と歴史学、美術解剖学、彫塑制作の専門家が携わり、CGデザインの助言も受け、総合的研究として初めての試みとなっている。行列と神々の複雑に入り組んだ位置関係を解明することで、「神々の顕現」の祭礼を表すと思われる人物像の配置を再現し、東方の朝貢図との類似を視覚的に明示する意味も有する。
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今後の研究の推進方策 |
(1) オリエント美術の影響関係を調べるために、中近東諸国の美術を再検討する。イラン・イスラム共和国のペルセポリス遺跡に残存するいわゆるアパダナ建築(謁見の間)の付属彫刻と、パルテノンフリーズ浮彫の関係について、共同調査を試みる予定である。合わせて、イラン国立考古学博物館において調査を実施する。ペルシア美術とギリシア美術の影響関係は、美術史の範囲を超えて、アテナイ帝国主義の性質を解明する重要な糸口の一つとして古代史全般の研究に対して重要な視角を提供する。アテナイによる帝国支配とペルシア帝国の政治言説の比較によって、パルテノン神殿研究に新しい視野をもたらすことを目的とする。 (2)立体制作は、本研究課題においても大きな研究成果を挙げており、一層の充実を図りモデル制作と作品の品質向上を実現する。 (3)併せて、大英博物館との協力関係の保持は、本研究計画の重要な課題の一つであり、教育展示後も、研究者交流等によって情報交換を進める。また、ギリシア、新アクロポリス美術館との、研究者交流の堅持も図る。 (4)2013年7月に、ベルリン大学において開催される国際シンポジウム「東アジアにおけるギリシアローマ文化の受容」において発表を予定。国内外の学会等において成果発表を行い、また社会還元を図る。
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