研究課題/領域番号 |
23242015
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
長田 謙一 首都大学東京, システムデザイン学部, 教授 (20109151)
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研究分担者 |
後小路 雅弘 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (50359931)
加藤 薫 神奈川大学, 経営学部, 教授 (40291968)
暮沢 剛巳 東京工科大学, デザイン学部, 准教授 (80591007)
椎原 伸博 実践女子大学, 文学部, 教授 (20276679)
藤川 哲 山口大学, 人文学部, 准教授 (50346540)
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キーワード | 芸術 / システム / グローバル / アートワールド / 多元文化主義 / 大衆文化 / 芸術経済 / プロパガンダ |
研究概要 |
現代のグローバルにしてローカル/多元的な<芸術>を、それを成立させる諸要素を視野に入れその総体を<システム>としてとらえることを課題とする本研究は、先進諸国から世界に広がるアートワールドのスタンダードと構成を明らかにするとともに、「半周辺諸国」や「周辺諸国」(ウォーラーステイン)の独自の芸術文化展開の機構、さらには欧米諸国における大衆/民衆/対抗文化の展開をも明らかにするという諸課題を基礎的に踏まえることになる。初年度である今年度は、主として分担研究者の個別的研究の進展を図る計画で臨み、本研究の視野に収めるべき諸方向に関する知見を蓄積しえた。 初年度ゆえに、基礎的な諸文献の収集にも大きな力を注ぎ、代表的美術評論誌のバックナンバー、重要な展覧会のカタログや、システム論的芸術諸理論の諸著作、等を多数収集しえた。 韓国の戦後美術研究者姜秀静、アメリカ戦後モダニズム展開に関する批判的研究で知られるS.ギルボー、ドイツKZM、グローバル・アートワールドを論じるイギリスのJ.スタバラスらと研究的連絡を取り始め、2年度目以降の研究進展の足掛かりをいくつか得た。 研究例会は、予定の回数開催することができなかったが、韓国や台湾の研究者をも交え、日欧米兼の美術に関する問題提起的な研究報告と研究討議をおこなった。当初計画では「周辺諸国」の諸問題を優先的に概観しかつ個別的に深める予定であったが、「半周辺諸国」である近隣諸国の現代的動向を踏まえた議論に成果を得ることになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、主に分担共同研究者の個別研究を進める計画であり、その当初目標はおおむね順調に遂行され、論文や口頭報告等でその成果は多数発表されている。しかし、全体における問題の共有化と共同深化という点では、当初予定よりも例会の開催が減った分、抑制されている。しかし他方、ドイツのZKMやイギリス、カナダの研究者との研究連絡がつき、さらに年度末には韓国研究者を交えての研究討議をおこなうなどでの面では、予定以上の広がり得た。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目の平成24年度は、研究例会と海外調査とを多く計画し、個別研究と共同深化の統一を一段と強めることとしている。研究例会は、数回に及ぶ予定で、ゲスト研究者をも交え、システム<芸術>の全容をこの年度の内にほぼ把握できるようにする予定である。最終年度に予定していた海外調査を一部(ドイツ・フランス、韓国など)この年度に先行的に行い、この面からも、この年度の研究の進展が研究全体の進展を推し進めるよう計画を調整している。
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