研究分担者 |
井上 優 麗澤大学, 外国語学部, 教授 (30213177)
BEKES Andrej 筑波大学, 人文社会系, 教授 (30599519)
今井 新悟 筑波大学, 人文社会系, 教授 (50346582)
小野 正樹 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10302340)
松崎 寛 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10250648)
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研究概要 |
世界各国の現地語と日本語とによる二言語日本語学習辞書の開発を支援するための「汎用的日本語学習辞書開発データベース」の構築と,その基盤形成のための研究を目標として,本年度はデータベースの基本設計を固めることができた。 具体的には, (1)日本語学習辞書の抱える問題点を明らかにし,見出し語選定や語義と用例の記述方針を決定した。 (2)それに基づき,汎用的日本語教育用語彙リストの作成を行い,18000語の教育用語彙を選定した。 語彙表の作成にあたっては,まず,日本語教科書コーパスおよびYahoo!知恵袋コーパスの調査をもとに基本語彙(約18000語)を抽出し,全ての語に対して教育経験の豊富な日本語教師5名によって6段階のレベル判定を行った。加えて,「分類語彙表」(国立国語研究所)および「基本語データベース語義別親密度」(学習研究所)との関連付けも行った。当面は6段階レベルの初級から中上級まで(A1からB2まで)の1万語を見出し語とし,それぞれの語の記述を行うことに決定した。尚,語彙表の800項目については用例作成(作例およびコーパスに基づく用例作成)を行った。 その他の成果としては, (3)国際東京大学教授川村よし子氏との話し合いにより,氏が中心となって作成したリーディングチュウ太のウェブ辞書と連携し,辞書を拡大することとした。 (4)類義語研究班,コロケーション研究班,文化情報研究班など,各研究班がそれぞれ独自に研究集会を持ちデータベースに盛り込む情報の記述方針について検討し,全体会議と分担者会議において成果報告を行った。 今年度は,2回の全体会議と1回のヨーロッパ研究集会を開き,活動の進捗状況報告を行うとともに,合計21本の研究発表を行った。さらに,4回の分担者会議とそれぞれの研究班の打ち合わせを重ねることにより以上の成果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
汎用的日本語教育用語彙リストの作成および,それに基づく見出し語の選定という重要な作業がすべて完了したことにより,次年度以降の計画を予定通り進めるための基盤を築くことができた。この点はおおむね順調に進展しているといえる。さらに,申請時当初は予定していなかった他の研究プロジェクトとの連携が可能になったことにより,互いの情報共有という新しい展開が見られたことは,当初の計画以上の成果であると言える。これにより,見出し語の記述に対する時間が大幅に縮小され,その分,語義と用例以外の記述についての研究にエネルギーが避けることになった。しかし,データベースの基本構造についての検討が十分に進められなかったという問題があるため,全体的には(2)と判定する。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の課題としては以下が挙げられる。 (1)「汎用的日本語学習辞書開発データベース」の基本的な構造について検討し,その方針を決定する。 (2)選定した1万語の見出し語についての語義記述と用例記述を進める。 (3)汎用的日本語教育用語彙リストの情報を整理し,一部を一般公開する。 (4)ホームページを立ち上げて,研究成果を随時公開する。 (5)データ処理環境の整備を行い,作業の効率化を図る。
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