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2012 年度 実績報告書

「書物・出版と社会変容」研究の深化と一般化のために

研究課題

研究課題/領域番号 23242040
研究機関一橋大学

研究代表者

若尾 政希  一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (80210855)

研究分担者 横田 冬彦  京都大学, 大学院文学研究科, 教授 (70166883)
鈴木 俊幸  中央大学, 文学部, 教授 (00216417)
山本 英二  信州大学, 人文学部, 教授 (20262678)
柳沢 昌紀  中京大学, 文学部, 教授 (60267896)
曽根原 理  東北大学, 学術資源研究公開センター, 助教 (30222079)
小池 淳一  国立歴史民俗博物館, 研究部, 教授 (60241452)
浅岡 邦雄  中京大学, 文学部, 教授 (20454358)
小高 浩子(西村浩子)  松山東雲女子大学, 人文科学部, 教授 (20248339)
八鍬 友広  東北大学, 大学院教育学研究科, 教授 (80212273)
谷口 眞子  早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (70581833)
柏崎 順子  一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (20262389)
佐藤 貴裕  岐阜大学, 教育学部, 教授 (00196247)
高橋 明彦  金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 教授 (00264573)
杉本 史子(山田史子)  東京大学, 史料編さん所, 教授 (10187669)
佐藤 宏之  鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (50599339)
高橋 章則  東北大学, 大学院文学研究科, 准教授 (10187990)
宮内 貴久  お茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 准教授 (10327231)
引野 亨輔  福山大学, 人間文化学部, 准教授 (90389065)
鈴木 理恵  広島大学, 大学院教育学研究科, 教授 (80216465)
青柳 周一  滋賀大学, 経済学部, 教授 (40335162)
小川 和也  北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (90509035)
井上 智勝  埼玉大学, 教養学部, 准教授 (10300972)
梅田 千尋  東京大学, 史料編さん所, 特任准教授 (90596199)
小林 准士  島根大学, 法文学部, 准教授 (80294354)
小関 悠一郎  千葉大学, 教育学部, 准教授 (20636071)
牧野 和夫  実践女子大学, 文学部, 教授 (70123081)
研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2016-03-31
キーワード日本史 / 国文学 / 思想史 / 総合史 / 出版史 / メディア史
研究概要

1.日本の出版文化を、A書物・出版と環境、B本屋・出版、C写本と刊本、D流通、E享受者・読者、F作者・思想家の6つの研究視角から捉えることの是非について、議論した。
2.2012年度のフィールドワークは、北海道伊達市、群馬県等で実施し、資料の収集・掘り起こしを行った。北海道伊達市では、明治初年の亘理伊達家家臣の北海道への移住の際に、彼らが子孫の教育のためにと担いできた書籍の調査を行った。群馬県では、群馬大学新田文庫の書籍・史料の閲覧と撮影を行った。
3.「書物・出版と社会変容」研究会を8回開催して、研究交流を行った。5月19日の例会は、人間文化研究機構連携研究との共催で国文学研究資料館で開催し、青木睦氏、渡辺浩一氏、入口敦志氏が報告した。7月28日は、北海道伊達市噴火湾文化研究所との共催で、北海道をフィールドとした書物研究の可能性について報告・議論した。11月10日には、群馬の歴史を考える会・大学図書館問題研究会群馬支部との共催で、群馬県前橋市で、研究会を行った。群馬の書物文化をめぐって討論することができ、また群馬大学附属図書館の書庫見学会も行うことができた。なお、2012年度は合計19名が研究報告を行い、近世~近代の出版文化について熱心に議論した。
4.一年の研究成果を取りまとめた雑誌『書物・出版と社会変容』第13号、第14号を印刷し、全国の教育・研究機関、史料保存機関に配布した。第13号には、谷口眞子「津軽藩における山鹿流兵学の受容」他6本の論考を収載し、第14号には、奥田倫子「日本語学者ヨハン・ヨーゼフ・ホフマン旧蔵日本書籍目録(試案)」他4本の論考を収載した。
5.近年の書物・出版研究の動向を整理し、その成果を集大成するために、「シリーズ本の文化史」を企画し、編集会議を経て、執筆候補者に依頼を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

21世紀の今、蔵書・書物の重要性が研究者により認知され、ようやくにして文書と蔵書・書物の双方を史料として歴史を叙述できる新しい研究段階に入ったということができる。本研究は、このような研究状況を確固たるものとするために、書物・出版と社会との相互関係を解明する「書物・出版と社会変容」研究を、より「深化」させていきたい。あわせて、そうした研究を、研究者だけにとどめず、広く国民にまで「一般化」していくことを目的として掲げた。
それを達成するための一つの柱が、月例で開催している「書物・出版と社会変容」研究会である。通常は一橋大学佐野書院で開催しているが、東京以外の日本各地で大会を開催してきている。2012年度は、北海道伊達と群馬県前橋で開催した。伊達では噴火湾文化研究所と教育委員会、市民ボランティアの協力を得て、書物文化に関心をもつ市民も参加してとても充実した研究会を開催することができた。群馬県前橋では、地元の歴史研究会と大学図書館の職員からなる研究会の協力を得て開催した。研究会の反響は大きく、各地から研究会を開催して欲しいという声が寄せられているほどである。
もう一つの柱が、研究の成果を収載した雑誌『書物・出版と社会変容』の発刊である。巻を重なるごとに、学界(たとえば『史学雑誌』の「回顧と展望」に載せられる等)での評価も高まってきている。既刊分(14冊)は一橋大学機関リポジトリに全文を掲載しているが、閲覧件数はとても多い。書物・出版研究の一般化という点で、一つ指摘すれば、全国各地の大学で、書物や出版をテーマにした卒業論文を書く学生も出てきていることもあげることができよう。
さらに、書物・出版をテーマとした講座物(シリーズ本の文化史)を出版すべく編集会議で議論を重ね、まずは6巻のシリーズとして出版することになった。現在、執筆を依頼しているところである。

今後の研究の推進方策

「書物・出版と社会変容」研究会の開催については、2013年度も月例で開催する。5月には、奈良県奈良市の奈良女子大学で開催するべく、現在準備をしている。奈良女子大学のコレクションの見学会も予定しており、多くの参加者が期待される。
11月には九州大学の箱崎キャンパスで開催する。その際、九州大学附属図書館の書庫見学会を行う。福岡では、太宰府、九州国立博物館、福岡県立図書館等で史料調査を行う。
雑誌『書物・出版と社会変容』第15号、第16号を刊行する。第15号は、すでに執筆予約を締め切っているが力作が集まりそうである。
「シリーズ本の文化史」は、1.読書と読者、2.書籍の宇宙―広がりと体系、3.書物文化とその基底、4.出版と流通、5.書籍の思想史、6.様式と造本、の6巻で構成し、続けて余裕があれば、東アジアの書籍文化史も出す。現在、執筆依頼をしている段階である。このシリーズにより、現在の書物・出版研究の全貌を見渡すことができ、一般市民にも蔵書・書物の重要さを分かっていただけるのではないかと期待される。
以上、研究は順調に進んでおり、研究計画の変更等は現在予定していない。

研究成果

(38件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 学会発表 図書 備考

  • [雑誌論文] 歴史の読み方、語り方2013

    • 著者名/発表者名
      若尾政希
    • 雑誌名

      如水会会報

      巻: 987 ページ: 20-22

  • [雑誌論文] 信濃出版会社と脩道館―予約出版の蜜月と落日―2013

    • 著者名/発表者名
      鈴木俊幸
    • 雑誌名

      紀要 言語・文学・文化(中央大学文学部)

      巻: 111 ページ: 63-130

  • [雑誌論文] 村岡典嗣の臨終-梅沢文書の二点の資料から-2013

    • 著者名/発表者名
      曽根原理
    • 雑誌名

      東北大学史料館紀要

      巻: 8 ページ: 65-71

  • [雑誌論文] 近世真宗学僧の「遺書」争奪戦―“書物の時代”と学統継承のかたち―2013

    • 著者名/発表者名
      引野亨輔
    • 雑誌名

      福山大学人間文化学部紀要

      巻: 13 ページ: 9-28

  • [雑誌論文] 武士道と士道-山鹿素行の武士道論をめぐって-2013

    • 著者名/発表者名
      谷口眞子
    • 雑誌名

      早稲田大学大学院文学研究科紀要

      巻: 第58輯第4分冊 ページ: 3-19

  • [雑誌論文] 物言う大名-松代藩第九代藩主真田幸教-2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤宏之
    • 雑誌名

      歴史評論

      巻: 754号 ページ: 62-72

  • [雑誌論文] 記憶のかたち-本多政均暗殺事件と仇討ち-2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤宏之
    • 雑誌名

      鹿児島大学教育学部紀要(人文・社会科学編)

      巻: 64 ページ: 1-14

  • [雑誌論文] 近世節用集の教養書化期2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤貴裕
    • 雑誌名

      国語語彙史の研究

      巻: 32 ページ: 87-101

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「御家」の思想と藩政改革-越後長岡藩牧野家の「常在戦場」をめぐって2013

    • 著者名/発表者名
      小川和也
    • 雑誌名

      歴史評論

      巻: 754号 ページ: 5-19

  • [雑誌論文] 続・高校教科書で学ぶ日本史2013

    • 著者名/発表者名
      山本英二
    • 雑誌名

      中野下高井教育

      巻: 42 ページ: 208-230

  • [雑誌論文] 談議所逓蔵聖教について2013

    • 著者名/発表者名
      牧野和夫
    • 雑誌名

      実践国文学

      巻: 83 ページ: 15-28

  • [雑誌論文] 『好色一代男』の検閲をめぐって-明治・大正期を中心に-2013

    • 著者名/発表者名
      浅岡邦雄
    • 雑誌名

      文学・語学

      巻: 205 ページ: 85-92

  • [雑誌論文] 職人巻物の宗教性―船大工巻物の基礎的考察―2013

    • 著者名/発表者名
      小池淳一
    • 雑誌名

      宗教研究

      巻: 86巻4号 ページ: 377-378

  • [雑誌論文] 天変地異の思想2012

    • 著者名/発表者名
      若尾政希
    • 雑誌名

      図書

      巻: 758号 ページ: 13-19

  • [雑誌論文] 太平記読み―『太平記評判秘伝理尽鈔』の位置2012

    • 著者名/発表者名
      若尾政希
    • 雑誌名

      アジア遊学

      巻: 155 ページ: 132-137

  • [雑誌論文] 「年代記」覚書2012

    • 著者名/発表者名
      鈴木俊幸
    • 雑誌名

      アジア遊学

      巻: 155 ページ: 215-220

  • [雑誌論文] 絵は神明前―芝の絵草紙屋―2012

    • 著者名/発表者名
      鈴木俊幸
    • 雑誌名

      東京都江戸東京博物館 調査報告書

      巻: 27 ページ: 13-28

  • [雑誌論文] 官立長崎師範学校蔵書中の「参考書」2012

    • 著者名/発表者名
      鈴木理恵
    • 雑誌名

      広島大学大学院教育学研究科紀要 第三部 教育人間科学関連領域

      巻: 61 ページ: 11-20

  • [雑誌論文] 津軽藩における山鹿流兵学の受容-17世紀後半の軍事-2012

    • 著者名/発表者名
      谷口眞子
    • 雑誌名

      書物・出版と社会変容

      巻: 13 ページ: 129-164

  • [雑誌論文] 日本の家相民俗2012

    • 著者名/発表者名
      宮内貴久
    • 雑誌名

      アリーナ

      巻: 14 ページ: 120-127

  • [雑誌論文] 国絵図復元―巨大絵図制作の技術-2012

    • 著者名/発表者名
      杉本史子 他
    • 雑誌名

      東京芸術大学美術学部紀要

      巻: 50 ページ: 5-19

  • [雑誌論文] 女性史からジェンダー史へ2012

    • 著者名/発表者名
      横田冬彦
    • 雑誌名

      クロノス

      巻: 34 ページ: 19-36

  • [雑誌論文] 江戸版『浮世ばなし』の出版とその後2012

    • 著者名/発表者名
      柳沢昌紀
    • 雑誌名

      東海近世

      巻: 20 ページ: 1-13

    • 査読あり
  • [学会発表] A Discussion of Textual Aspects and the Dissemination of Toshogu Goikun

    • 著者名/発表者名
      若尾政希
    • 学会等名
      Association for Asian Studies 2013 Annual Conference
    • 発表場所
      Manchester Grant Hyatt San Diego,California,USA
  • [学会発表] 歴史の読み方、語り方

    • 著者名/発表者名
      若尾政希
    • 学会等名
      一橋大学開放講座
    • 発表場所
      如水会館(神田一ツ橋)
    • 招待講演
  • [学会発表] 職人巻物から考えた文字文化

    • 著者名/発表者名
      宮内貴久
    • 学会等名
      日本民俗学会
    • 発表場所
      成城大学
    • 招待講演
  • [学会発表] 近世政治思想と明君録 ―儒教と仁政をめぐる将軍と大老の相克―

    • 著者名/発表者名
      小川和也
    • 学会等名
      北海道歴史研究者協議会
    • 発表場所
      北海道教育大学札幌駅前サテライト
  • [学会発表] 徳川吉宗の医学書普及政策と在村医

    • 著者名/発表者名
      横田冬彦
    • 学会等名
      京都府医学史研究会学術講演会
    • 発表場所
      京都府医師会館
    • 招待講演
  • [学会発表] 『好色一代男』の検閲をめぐって-明治・大正期を中心に-

    • 著者名/発表者名
      浅岡邦雄
    • 学会等名
      全国大学国語国文学会
    • 発表場所
      中京大学
    • 招待講演
  • [図書] 男と女の文化史(「2 表現される遊女から表現する遊女へ」高橋章則)2013

    • 著者名/発表者名
      東北大学大学院文学研究科出版企画委員会編
    • 総ページ数
      207(45-74)
    • 出版者
      東北大学出版会
  • [図書] 戊申戦争の史料学(「鳥瞰風景のなかの将軍―幕末の情報世界と江戸社会」杉本史子)2013

    • 著者名/発表者名
      箱石大編
    • 総ページ数
      433(343-380)
    • 出版者
      勉誠出版
  • [図書] 仮名草子集成第49巻2013

    • 著者名/発表者名
      柳沢昌紀 他
    • 総ページ数
      338
    • 出版者
      東京堂出版
  • [図書] 近世の政治思想論2012

    • 著者名/発表者名
      若尾政希
    • 総ページ数
      369
    • 出版者
      校倉書房
  • [図書] 「太平記読み」の時代2012

    • 著者名/発表者名
      若尾政希
    • 総ページ数
      435
    • 出版者
      平凡社
  • [図書] 書籍流通史料論 序説2012

    • 著者名/発表者名
      鈴木俊幸
    • 総ページ数
      477
    • 出版者
      勉誠出版
  • [図書] 〈明君〉の近世 ―学問・知識と藩政改革―2012

    • 著者名/発表者名
      小関悠一郎
    • 総ページ数
      303
    • 出版者
      吉川弘文館
  • [備考] 「書物・出版と社会変容」研究会コミュニティ・ホームページ

    • URL

      http://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/handle/10086/16284

  • [備考] 日本近世史・思想史研究の窓

    • URL

      http://www.soc.hit-u.ac.jp/~wakao/index.htm

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公開日: 2014-07-24  

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