研究課題/領域番号 |
23242041
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
吉村 武彦 明治大学, 文学部, 教授 (50011367)
|
研究分担者 |
加藤 友康 明治大学, 大学院・文学研究科, 特任教授 (00114439)
|
キーワード | 墨書土器 / 日本古代史 / 出土文字資料 / データベース / 墨 / 官衙遺跡 / 寺院遺跡 / 土器 |
研究概要 |
(1)墨書土器に関する研究文献データベースは、大学図書館等の研究文献と報告書等を調査・収集して作成し、総計が1912点になった。5月中には、明治大学の古代学研究所ホームページに最新版として、データを更新して公開したい。 (2)墨書土器データベースでは、詳細なデータベースは、完成版としては山口県のカードを作成して入力し、ホームページにおいて公開することができた。現在、岡山地域と広島県の作業に入り、これが完成すれば、墨書土器研究は中国地方の基本的資料が整い、東日本との比較研究が可能となる。 (3)連携研究員の市大樹氏(大阪大学准教授)の協力で、奈良県の平城京の詳細な墨書土器データベースを作成中である。京域ができると、地域と宮都域との比較研究が容易になる。 (4)福井県、長野県、岐阜県、和歌山県のデータ集成の作業中である。茨城県は協力研究者の川井正一氏との連携で基本的に作業は終了した。今年度の早い時期に公開できるように進めていきたい。 (5)全国の墨書土器簡易版データベース作成は、データ収集による補訂作業を進行させているが、詳細版から4項目のデータを摘出してデータベースの更新をはかりたい。 (6)文字資料を用いた地域研究については、古代学研究所と協力し、現在、千葉県市川市を対象に、国府・国分寺関連の研究を進めている。市川市史研究と連携して、下総国戸籍の復原に協力した。 (7)中国の南京市博物館、韓国ソウルの国立中央博物館で墨書土器の調査を実施した。中国南朝における墨書土器の一端を認識した。現地の研究者(王志高氏)と連携して、実態を解明していきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データベースの作成には、時間がかかり、最終的には現地の研究者と連携し、埋蔵文化財センターなどで最終確認が必要である。昨年度は東日本大震災の影響で始動が遅れたが、データ集成・カード作成等を順調に進められるようになった。ただし、震災の影響で、東日本は秋田県の作業しかできなかった。また、韓国の墨書土器に続き、南京で墨書土器を調査できたことは、東アジアの視点から日本の墨書土器を見直す作業として端緒的な成果を得た。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、当初の計画にそって、墨書土器のデータベース作成に全力をあげていきたい。中国南朝の都である建康における墨書土器の調査については、王志高と共同研究が可能となれば、中国における墨書土器研究について大きな成果が期待できると思われる。ただし、王氏の意向で、2012年度の調査が可能になるか微妙である。 なお、東日本大震災との関係で、東北地方のデータベース集成が難航すると思われる。2012年度は、連携研究者の荒木氏と協力して、山形・岩手県を計画している。
|