研究の基礎となる墨書土器に関する研究文献データベースは、大学図書館・大学博物館図書室等の研究文献と報告書等を調査・収集して作成し、2020点となった。まだ未入力のデータがあるが、研究成果報告書提出時までに、明治大学の古代学研究所のホームページのデータベースを更新して公開したい。 墨書土器データベースでは、詳細なデータベース版は、山形県・長野県がほぼ終了している。早い時期に公開したい。また、京都府(山城)・広島県・岡山県(備前・備中)・兵庫県(播磨・摂津)・福井県・和歌山県の学内調査をほぼ終えている。平城京も完成版を公開準備中であり、これで宮都と各地域との比較研究が可能となる。さらに茨城県の補訂版と岩手県が最終段階である。この他、千葉県・愛知県・福井県が作業中である。これらが完成すると、東北・中部・山陽地域の比較研究が可能となり、墨書土器研究は画期的に強化される。全国墨書土器データベース(簡易版)は、詳細版から4項目のデータを抽出し、全国版の検索システム(暫定版が稼働中)にアップして充実させていきたい。 地域研究としては、千葉県市川市地域を対象にして、市川市史編纂と連携して、『下総国戸籍 遺跡編』の刊行に関係者が協力した。住居祉との関係で墨書土器をとりあげた。さらに昨年は、地域の墨書土器研究の熟覧・打合せとして、鳥取・島根、石川県の調査を実施し、愛知県で文献収集を行った。現地では、すでに古代学研究所の墨書土器・刻書土器データベース検索システムが利用されており、我々の研究が現場で活用されていることがわかった。 東アジア地域との関係では、韓国の出土文字資料に関して、新羅関係の文字資料について金在弘国民大学教授から研究報告を受け、文献データの作成を開始した。昨年度の中国・ベトナムに続き、韓国との比較研究に発展しつつある。
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