研究課題/領域番号 |
23242044
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
遠藤 泰生 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (50194048)
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研究分担者 |
中野 勝郎 法政大学, 法学部, 教授 (70212090)
増井 志津代 上智大学, 文学部, 教授 (80181642)
久田 由佳子 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (40300131)
松原 宏之 横浜国立大学, 理工学研究科, 准教授 (00334615)
橋川 健竜 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (30361405)
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キーワード | 市民 / キリスト教 / 公共 / アンティベラム / アメリカ合衆国 |
研究概要 |
11月に科研採択の通知を受けてから、研究分担者間で連絡をとり、市民編成原理を議論するのに必要な知見の整理を始めた。具体的には、歴史学、政治学、社会学における市民概念の比較を開始した。 一方で、プロジェクト外の研究者を招聘した研究会を開始、2012年1月8日東京大学アメリカ太平洋地域研究センターで第1回の研究会を開いた。関西アメリカ史研究会を母体に編集された『アメリカ史のフロンティアI アメリカ合衆国の形成と政治文化:建国から第一次世界大戦まで』(昭和堂、2010)を素材に市民編成原理の歴史を考えることが研究会の主旨であったが、遠藤泰生(東京大)、橋川健竜(東京大)の短評に肥後本芳男(同志社大)、中野耕太郎(阪大)の編者2名が答える形で進められた議論は、「政治文化」をめぐるアメリカ史研究の現況をめぐって展開し、研究テーマとしての文化への着目と研究手法としての文化への着目に議論の焦点が結ばれた。市民概念そのものに関しては、20世紀を視野に収めた通時的議論の必要性が確認されるにとどまった。アメリカ史の新しい総合を目指す際に市民編成原理がどの程度有効であるか、検討を続けたい。 2月5日から12日にかけては、Chris Dixon教授(Queensland University)をオーストラリアから招聘し、プロジェクト分担者との知見の交換を行った。2月6日と9日にはアメリカ太平洋地域研究センターで研究会を開催、"An International Aspect of Antebellum African-American Activism""Abolitionism and Gender Reform"のテーマで報告を受けた。いずれも一国史の枠を越えたアメリカ史研究の必要性を市民編成原理の検討を通して確認する機会となった。 なお、マイクロ史資料をデータに落として印刷できるマイクロ・リーダーを一台購入し、また、本研究プロジェクトの活動をアメリカ太平洋地域研究センター刊行のニューズレターで学界に発信し始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
11月下旬に追加採択の知らせを受けた後、早急に分担予定者に連絡を行ったが、既に他のプロジェクトメンバーとして活動を開始し、本プロジェクトには分担者として加われなくなった者が出た。2012年1月、2月、3月にそれぞれ研究会を開催し、残る分担者間の知見の共有は順調に進んだが、海外研究協力者との連絡がまだ十分に進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
今後も隔月のペースで研究会を開催し、各研究分担者の報告を受けつつ、プロジェクト参加者間の知見の共有を進める。また、海外から研究者を招き、熟議民主主義と市民原理、アイルランド系移民をめぐる人種規範と市民原理をテーマとする研究会を開催する。これらの研究会を通し、研究分担者は、(1)誰が市民たり得るのかという市民の外形論(2)市民を自覚した様々の政治主体は市民の実態をいかなるものと理解していたのかという市民の実質論(3)市民の編成原理を決定する権威・権力は結局誰の手に握られていたのかという市民をめぐる権力構造論、の3点を論点として共有できるよう、研究各自のテーマを掘り下げる。
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