研究課題
3年間の研究期間の最終年度に当たる平成25年度は、平成24年度中に暫定的に確立した中部日本におけるヒノキ年輪酸素同位体比の過去2千年に亘る長期連続クロノロジーを延伸・高精度化すると共に、福島大学の木村教授の提供による日本各地のスギの埋没木などを用いて、縄文時代の長期に亘る年輪酸素同位体比のクロノロジーの構築に取り組んだ。その結果、中部日本のヒノキ年輪酸素同位体比のクロノロジーは、現在から紀元前6世紀までが一つにつながると共に、紀元前5世紀以前の日本各地(鳥海山・秋田、伊豆・静岡、若狭・福井)の埋没巨木スギからは、紀元前2千年以前までに遡れる、互いに確実に対比可能な超長期に亘るスギ年輪酸素同位体比のクロノロジーを構築するに至った。その中で、中部日本のヒノキ年輪酸素同位体比クロノロジーは、東北地方日本海側の鳥海山の埋没スギのクロノロジー(紀元前5世紀以前)とも完全につながることになり、結果的に、日本において、現在から過去4千年前までの連続的な年輪酸素同位体比が完成し、現在もその延伸が続いている。こうしたクロノロジーは、日本各地の様々な遺跡の年代決定に成功裏に利用されつつあり、例えば、従来の年輪年代法では決定できなかった、大阪府の難波宮の掘立柱の年代を1年単位で決定するなど、具体的な成果に、次々と結びつきつつある。また、日本各地の年輪酸素同位体比クロノロジーは、多数の個体に対して測定データを蓄積することで、どんどん精度が上がって来ており、酸素同位体比が夏季降水量の古気候学的な指標として従来にない精度を持っていることを踏まえて、日本の気候変動の実態や、それが日本の歴史に与えた影響などを考察していく上で、全く新しい高精度の古気候データが得られつつあり、実際に、さまざまな歴史事象との対応関係が議論され始めている。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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