研究課題/領域番号 |
23242048
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福永 伸哉 大阪大学, 文学研究科, 教授 (50189958)
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研究分担者 |
高橋 照彦 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (10249906)
佐々木 憲一 明治大学, 文学部, 教授 (20318661)
杉井 健 熊本大学, 文学部, 准教授 (90263178)
菊地 芳朗 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (10375347)
清家 章 高知大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40303995)
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キーワード | 古墳時代 / 威信財 / 地域関係 / 国際比較 / 長尾山古墳 / カミノハナ古墳群 / 菱津古墳 / 大師森石棺 |
研究概要 |
本年度は4年間の研究プロジェクトの第1年目であるため、まず5月半ばまでに、配分補助金額に応じた研究戦略と方法・役割分担等についての実施計画を、分担者・協力者間のメール会議によって討議し、初年度の研究を本格的に開始した。研究は次の(1)分担研究者各自に割り当てたテーマ研究、(2)フィールド調査、(3)研究集会、(4)国際発信の4つを柱として行った。具体的な作業内容は以下の通りであり、その成果は後掲した論文、学会発表、著書などにおいて積極的に公表した。 (1)テーマ研究威信財研究、地域関係研究、社会構造研究、国際比較研究について研究史の到達点を整理・分析し、12月17日、18日開催の研究集会において各自が報告し、討論を行った。 (2)フィールド調査東北(山形県鶴岡市菱津古墳石棺および高畠町大師森石窟石棺)、九州(熊本県上天草市カミノハナ古墳群の測量調査)、畿内(兵庫県宝塚市長尾山古墳)の3地域で測量調査および発掘調査を実施した。 (3)研究集会7月、8月、9月、12月の4回開催した。このうち、7月には朴天秀氏(韓国慶北大学校)、鄭修玉(韓国国立加耶文化財研究所)、8月にはLaurent Nespoulous氏(仏国立東洋言語文明研究所)、12月には黄暁芬氏(東亜大学大学院)など、外国人研究者による研究発表を行い、古墳文化の国際比較について議論を深めた。また、12月には「古墳時代の階層性」をテーマに、分担研究者・研究協力者による12本の発表を準備して、総合的な議論を行った。 (4)国際発信海外諸機関と調整を行い、H24.7月中旬に英国セインズベリー日本藝術研究所において国際ワークショップを開催することを決定した。また、英仏韓国において顕著な墳丘墓遺跡の踏査および現地研究者との意見交換を行い、古墳時代の国際比較についてのアプローチを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記した研究の柱となる作業について、まんべんなく展開できている。年度当初、東日本大震災の原子力災害の影響で特に心配された東北でのフィールド調査についても、対象遺跡を山形県内に切り替えることでほぼ所期の目的を達成できた。研究成果の発表は1年目としては順調に行われており、これと併行して海外発信研究が本格的に始まる2年目へ向けての準備作業も滞りなく進行している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は対象地域やテーマが広範囲に及ぶため、8名からなる研究代表・分担者が、研究協力者の協力を得ながら、強い当事者意識を持って進めることが不可欠である。役割分担を明確にしたテーマ研究を責任持って進めつつ、その成果は全員での議論に供し、成果の質的向上を確保する研究戦略が基本となる。フィールド調査、海外ワークショップ開催など周到な準備を要する作業もあるので、緊密な連絡・連携体制を整えて引き続き着実に研究を遂行していく。なお、東北のフィールド調査については、流動的要素もあるので、安全面と学問的な意義を考慮しながら、臨機応変に対応していく。
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