研究課題/領域番号 |
23243004
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
常本 照樹 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10163859)
|
研究分担者 |
山崎 幸治 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 准教授 (10451395)
辻 康夫 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 教授 (20197685)
山下 竜一 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60239994)
加藤 博文 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 教授 (60333580)
北原 次郎太 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 准教授 (70583904)
長谷川 晃 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90164813)
佐々木 雅寿 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90215731)
|
研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2016-03-31
|
キーワード | アイヌ民族 / 先住民族 / 憲法政策 / アイヌ政策 |
研究概要 |
研究の方向性を確立するため、アドバイザリ・ボード・メンバーであるオクラホマ大学先住民研究プログラム・ディレクターのジョー・ワトキンス教授、同大学法科大学院附属アメリカ・インディアン法政研究センター長のリンゼー・ロバートソン教授、ハワイ大学法科大学院附属ハワイ先住民法研究センター長のメロディ・マッケンジー教授及び台湾国立政治大学原住民族研究センター長の林修澈教授並びにニュージーランド・ワイカト大学法学部長のブラッドフォード・モース教授と面談し、英米型実体的先住民族概念を日本国憲法の下での法政策の構成概念として直ちに取り入れることの可能性について討論した。それによって、具体の先住民族の生活実態や同化の程度、主流社会との関係などを踏まえて個々に検討を深める必要があることが確認された。特に、英米諸国における先住民族をステレオタイプ化し、アイヌ民族を安易にその型にはめようとすることの危険性が指摘されたことを強調しておきたい。これらの討論の成果を踏まえ、次年度は、アイヌ民族の独自性についての検討を深めるとともに、ヨーロッパにおけるナショナル・マイノリティに関する研究を推進することとした。 24年度における海外先住民族調査としては、アメリカ合衆国(ワシントンDC、オクラホマ州、ハワイ州)、カナダ及び台湾を訪問し、個々の先住民族政策に関する資料収集を行ったほか、特に先住民族政策に対する主流社会の反応を確認することに努めた。その結果、200年を超える先住民族政策の歴史を持ち、先住民族の存在については周知であるはずのアメリカにおいても、先住民族の「特別扱い」に対する嫉視は根深いことが知られた。先住民族政策が始まったばかりで、かつ民族だけが集住する保留地のようなスペースを持たない日本において、この問題に対処することの難しさを思わせた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度に続き24年度においてもアドバイザリ・ボードのメンバーを訪問し、あるいは札幌に招へいすることによって研究の方向性を固め、その成果について深く協議することができたこと、我が国における先住民族政策の具体的進展について、国、北海道、及び市町村のそれぞれのレベルで詳細に担当者と議論し政策の評価を行うとともに政策形成の過程を逐一観察することができたこと、国際シンポジウム・フォーラムをニュージーランド、カナダ、アメリカ、台湾を対象として複数回開催できたことなどに照らし、目的を十分に達成できたと言える。
|
今後の研究の推進方策 |
基本的に研究計画通りに進行するが、英米型先住民族概念を相対化して評価するためにヨーロッパにおけるナショナル・マイノリティに関する研究により一層の比重を置くことにしたい。
|