研究課題/領域番号 |
23243019
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大串 和雄 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (90211101)
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研究分担者 |
千葉 眞 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (10171943)
狐崎 知己 専修大学, 経済学部, 教授 (70234747)
本名 純 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (10330010)
元田 結花 学習院大学, 法学部, 教授 (20292807)
SHANI Giorgiandrea 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (60351318)
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キーワード | グローバル化 / 暴力 / 平和政策 / アイデンティティ / デモクラシー / 複合的研究 / 政治学 / 人権 |
研究概要 |
本研究は、現代世界の複雑化する暴力の実態を解明し、その実態に対応した平和政策のあり方を新たに提示することにある。研究手法は「グローバル化と暴力・平和領域」「アイデンティティと暴力・平和領域」「デモクラシーと暴力・平和領域」の3つを問題領域として設定したうえ、世界各地域間の比較や諸事例の比較研究をベースに複合的研究に発展させるものである。 グループ全体の研究活動としては、2012年1月に沖縄を訪問し、海上保安庁、沖縄国際大学、市民団体等において「グローバル化と暴力・平和領域」をテーマに聞き取り調査を実施した。三者に共通するテーマは普天間、辺野古などの基地問題であったが、各アクターの認識の齟齬が垣間見られるなど、限られた範囲での接触ではあったが有益な知見を得ることができた。 グループ全体としての研究活動とは別に、研究参加者ごとにそれぞれ担当の分野に関して、先行研究の検討、海外フィールドワーク、文献調査、研究発表などを行なった。たとえば、研究代表者である大串は、移行期正義に関する近年の研究動向を踏まえ、日本国際政治学会の研究大会において「移行期正義と人権侵害犠牲者-ラテンアメリカの経験」と題する研究発表を行った。そこでは「移行期正義」の国際的潮流において加害者の刑事訴追は国際社会から押しつけられたものであり、人権侵害の犠牲者の利益に反するという「犠牲者中心」の主張が注目を集めるのに対して、今日の移行期正義の潮流の出発点 であるラテンアメリカにおいては、被害者遺族を含む犠牲者自身が加害者の刑事訴追を望んでおり、彼らの粘り強い運動によって一定の加害者処罰が可能になったことを明らかにした。その他の研究業績は後掲のリストの通りである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3回の全体ミーティング・研究合宿を開催し、最終年度に至る研究計画及び各分担者の役割を決定することができた。各分担者は初年度の研究計画にそって研究を進め、雑誌論文・図書・学会報告等による研究成果の発表も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
「グローバル化」「アイデンティティ」「デモクラシー」を問題領域として、各分担者が「暴力・平和政策」との関連を念頭に、引き続き先行研究の批判的検討、理論研究、現地調査を推進し、その成果を全体ミーティングと研究合宿において報告しあい、比較研究から複合的研究への発展を目指す。その一環として、研究分担者の多くが参加するフィールド調査を国内外で実施すると共に、国際シンポジウムやワークショップ、並びに社会人向けの講座等を開催して成果を国際社会及び日本社会に対して広く発表する。
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