研究課題/領域番号 |
23243025
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
伊勢崎 賢治 東京外国語大学, 大学院・総合国際研究院, 教授 (30350317)
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研究分担者 |
上杉 勇司 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 准教授 (20403610)
粟屋 利江 東京外国語大学, 大学院・総合国際研究院, 教授 (00201905)
岡田 昭人 東京外国語大学, 大学院・総合国際研究院, 准教授 (60313277)
酒井 啓子 東京外国語大学, 大学院・総合国際研究院, 教授 (40401442)
八尾師 誠 東京外国語大学, 大学院・総合国際研究院, 教授 (20172926)
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キーワード | 民族対立 / 民族融和 / 政治的外交的寛容 / 大学教育モジュール |
研究概要 |
本取組み「紛争国における政治的・外交的寛容育成のための民族融和教育手法の確立」は、現代の紛争の主たる特徴である民族対立の解決手段としての民族融和の有り様に関する比較研究を行い、その成果に基づいて政治的・外交的寛容度を高めることを目的とした民族融和のための大学教育モジュールを開発することを目指す、紛争学と教育学の融合的研究を行うものである。 初年度であった当該年度は、民族融和の研究に力点を置いた。まず、インド、パキスタンを主たる対象としコミュニティレベルにおいての民族対立の現状を研究する点については、国外の研究協力者の協力を得てコミュニティにてフィールド研究を行った。具体的には、インド、パキスタンの争点となっているカシミール地域を主眼におき、インド及びパキスタン側のカシミールにて、紛争に関連する様々な関係者から、民族融和を基軸とした聞き取りを実施し、その内容を基盤とした民族対立の現状の調査を実施した。 次に、コミユニティレベルでの対立の過激化・急進化が、外交レベルのテロに結びつくという可能性及び傾向を、コミュニティでのフィールド研究を基にして調査するという点においては、こちらもカシミール地域を中心とし、フィールド研究を行った。具体的には、インド及びパキスタンの大学においてコミュニティでの民族融和に対する取り組み事例の聞き取り調査を実施し、その事例の理論的基盤となっている書籍の収集を実施した。また、この研究の成果報告及び共有を行うために、海外の研究力者とはビデオ会議システムによる同期コミュニケーションにて、国内の研究分担者とは対面で討議をする機会を設けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、コミュニティレベルにおいての民族対立の現状の調査・研究と、民族対立の過激化・急進化が外交レベルのテロに結びつくという可能性及び傾向の調査・研究という二本柱の課題を掲げており、フィールド研究手法に主眼を置き取り組み、対象地域であるインド及びパキスタンとも、現地に赴いての調査・研究が達成されたため、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き民族融和の研究に力点を置く。研究計画としては、まず民族融和及び民族融和支援手法において、昨年度の研究成果をより深化させるために、引き続き文献調査を中心に研究を進める。 その上で、国内の研究分担者と海外の研究協力者(インド:ボンベイ大学、パキスタン:アザッド.ジャンムーアンドカシミール大学、アフガニスタン:カブール大学、カンボジア:パニャサストラ大学、インドネシア:ガジャマダ大学、スリランカ:ペラデニヤ大学)と、先行研究を基盤とした教育モジュール及び評価手法開発のための討議を実施する。 国内・海外の研究者との研究会については、定常的なものとしてはビデオ会議システムを利用した定期的な会議を予定しており、そのほかには対面で集合する機会を設け、各分担者及び協力者の研究成果発表と、それに基づく教育モジュール骨子の策定を実施する予定である。
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