研究課題/領域番号 |
23243031
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
太田 宏 早稲田大学, 国際教養学術院, 教授 (70288504)
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研究分担者 |
阪口 功 学習院大学, 法学部, 教授 (60406874)
石井 敦 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (30391064)
大久保 彩子 東海大学, 海洋学部, 専任講師 (40466868)
眞田 康弘 法政大学, 法政大学サステイナビリティ研究教育機構, リサーチ・アドミニストレーター (70572684)
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キーワード | 国際漁業資源 / レジームコンプレックス / 地域漁業管理委員会 / 制度間相互連関 |
研究概要 |
初年度から研究対象である主な地域漁業管理委員会の年次会合に、正式なオブザーバーとして出席することができ、加盟国等による当該地域の資源管理の現状と今後の取り組みに関する審議を傍聴できた。南マグロ保存委員会(CCSBT)の年次会合では、親魚資源の現状に対する懸念を多くの参加国が表明し、管理計画に予防的な措置を導入する必要が指摘された。他方、遵守監視業務増加に見合うだけのスタッフがいないことや協力的非加盟国が漁獲量の報告などをほとんどしていない、という現状に対する懸念も表明された。また、中西部太平洋マグロ類委員会(WCPFC)では、EU、米国、日本等がマグロ類の保全向ために漁業規制を求める一方、フォーラム漁業機関(FFA)を形成する南太平洋諸国は自国の発展のために漁業資源の主権的開発権を主張している状況を具に観察することができ、今後の研究にとって貴重な知見を得ることができた。 また、基本的に2ヶ月に1回以上の研究会を開催して、理論的な枠組みの整理や各委員会に関する知識を習得した。まず、ウェブスターの理論を解説し、その欠点が明らかになったこと。例えば、一人あたりGDPではなく、別の指標が適切であること;消費国と輸出国の区別をしていないこと;CPUE(旋網と延縄の区別)を使った方がよさそうなことなど。また、制度間相互連関に関しては、オーバーチュア=ゲーリングの分析枠組みのRFMOsへの適用可能性を検討し、因果経路の分類の修正、蓄積効果が同定できない欠点、ノンレジームが相互連関を発現させる可能性があること、などが指摘できた。また、大西洋マグロ類委員会(ICCAT)全米マグロ類委員会(IATTC)などの外交資料なども収集が進んだ。さらに、国際的機関や国際的制度レジームの相互連関に関する研究も進んだ。本年度の研究の成果の一部は、学会で報告されるとともに学術誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いくつかの地域漁業資源管理委員会における漁業資源管理の現状に関する調査ならびに基本的な文献調査を踏まえ、本研究の基本的な理論的枠組みである「脆弱性反応モデル」の応用可能性と改善を要する点が明らかになった。こうした点では研究は順調に進展している。ただし、24年度以降の意思決定要因と有効性分析の指標づくりに向けての研究をもう少し推し進めておく必要があったかもしれない。
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今後の研究の推進方策 |
今後とも定期的に研究会を開催して、基本文献の輪読、研究対象の地域漁業資源管理委員会の年次会合での参与観察、関連国際機関や漁業資源管理レジームと相互連関する他のレジーム(生物多様性レジームなど)での調査を進めていく。また、日本国内外の研究者間さらには各国政府や漁業関係者とも情報交換ならびに意見交換を行い、研究や政策へのインプリケーションを模索する上で大いに役立つことになると思われる人的ネットワークの形成も図っていきたい。それと並行して、理論構築に向けて、主要な概念規定、データな公文書などの収集ならびに指標づくりのための研究も進めていく。さらに、次年度から本研究のホームページを活用し、ワーキングペーパー等を通して研究の成果を社会的に発信していく。
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