研究概要 |
それぞれの研究代表者・分担者の今年度の研究成果を簡単に記す。谷崎(研究の総括と統計的手法の開発の担当)は,株価・外国為替・金利の日次データを用いて,レベル変数値とそのボラティリティについて,休日効果・曜日効果・それぞれの変数間の波及効果を調べた。それぞれ変数のレベル値・ボラティリティ共に相互に密接に依存しあっていることが確認された。福重(コンピュータ・インテンシブな統計手法による実証分析の担当)は,投資関数の実証分析に関する研究,税収予測の不偏性に関する実証分析,風評被害の関連食物への影響に関する検証方法及び医学部教育の付加価値の計測に関する論文を雑誌論文として公刊した。黒住(時系列分析に関する統計手法の開発の担当)は,線形トレンドを説明変数に含む複数の構造変化の検定方法を開発した。そこでは,構造変化の数に依存せずに,より計算量の低くなる検定方法を考案し,効率的な計算アルゴリズムの開発に成功した。川崎(コンピュータ・インテンシブな時系列分析と統計的手法の開発の担当)は,離散型変数の選択・併合を主目的とした,凸最適化を要しない計算効率的な方法を提案した。さらに,値幅制限のある商品先物市場での応用を念頭に,打ち切りのある時系列データに対する計算機集約型の推定方法を提案し,マージンコールの発生リスクを適切に評価する方法について研究を行った。難波(コンピュータ・インテンシブな統計手法に関するシミュレーション分析の担当)は,分布関数に対する推定量の平均自乗誤差の積分値を最小にするようなバンド幅を利用した場合,平滑化ブートストラップ法を用いた信頼区間は非常に優れた性質を持つ事を,コンピューター・シミュレーションの結果により示した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も今年度と同様に,個々の研究分担者と連携して,研究を遂行する予定である。特に,次年度の目標としては,非線形フィルタの推定方法の開発を行うことを考えている。同時に,その応用として,経済成長のレジーム・スイッチに関する新たな計測方法及び計算方法を提案する予定である。このように,コンピュータ依存の強く計算負担が重い推定や検定を,実証分析に応用する。
|