研究課題/領域番号 |
23243040
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
刈屋 武昭 明治大学, 専門職大学院グローバル・ビジネス研究科, 教授 (70092624)
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研究分担者 |
佃 良彦 東北大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10091836)
前川 功一 広島経済大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20033748)
山村 能郎 明治大学, その他の研究科, 教授 (60284353)
乾 孝治 明治大学, その他の研究科, 教授 (60359825)
神薗 健次 長崎大学, 経済学部, 准教授 (70336147)
田野倉 葉子 明治大学, その他の研究科, 准教授 (60425832)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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キーワード | 信用リスク / 倒産確率の期間構造 / 社債の信用リスク価格スプレッド / 金利の期間構造 / 個別国債価格モデル / 無裁定価格理論の検証 / 個別国債価格の予測モデル / 市場リスク |
研究概要 |
「金融リスクの分析モデルの高度化とリスクマネジメントへの応用」の目的に対して以下の3つの目的別研究を実施。 【1】信用リスクの分析モデルの高度化と応用(社債価格から倒産確率の期間構造の導出、応用):社債価格と業種別売上高比率を利用して、業種と格付のペアごとに倒産確率の期間構造と回収率を導出するモデルのシステムを開発した。そのシステムから数千の社債価格を対象に個別企業毎および業種別のディフォルト確率を月次単位で導出し、システムの有効性を検証。また、対国債価格と比較した信用価格スプレッドを個別企業ごとに導出し、格付け情報の実証的有効性を分析するとともに信用リスクマネジメント法について議論。加えて、このシステムから、欧州4国の仏、西、伊、希の対ドイツ国債価格に対して倒産確率を算出し、欧州金融危機時における各国リスク分析を展開。 【目的2】金利リスクの分析モデルの高度化と応用(国債価格から金利の期間構造の変動モデル、応用):前年度の日本国債モデル分析法を、米国債、欧州国債(独、仏、西、伊、希、英)に適用し、各国の金利の期間構造を分析比較した。日本国債を対象に、割引率関数のパラメータ情報から金利の期間構造の時間的変化を予測するモデル開発中。 【目的3】市場リスクの分析モデルの高度化と応用(分散・相関変動株式モデルの定式化とリスク量の計測):研究会などを通して、VaRなど市場リスク量計測法、シミュレーション法などについて議論し、相関変動モデルの定式化と予測法について市場RMの計測の視点から拡張する方法を考察。 これらを国内外の学会等での発表、論文投稿を行う。またシンガポール国立大学Duan教授、香港科技大学Wu教授、University of Technology SydneyのPlaten教授を招聘して国際会議『明治大学科研費金融リスクコンファランスII』(3月14-15日)を開催。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
信用リスク、金利リスク、市場リスクの各分析についての分析プログラム開発、成果アウトプットは平成24年度の交付申請書に記載した研究目的・計画に沿った活動を行っており、当初の目的をほぼ達成している。また、研究成果に関しても国内外の学会等で報告するとともに海外雑誌に投稿しており、一定の評価得ている。以上から、おおむね順調に進展しているものと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
信用リスク分析に対して、個別企業の倒産確率の期間構造の時系列多変量的分析し、CDS(Credit Default Swap)の価格変動との関係と景気変動との関係を分析する。また業種概念を設定し、業種単位の分析や、業種間の関係を分析する。一方、欧州国債モデルの結果を利用して、欧州金融危機の現象を分析するために、欧州各国のソブリンリスクの倒産確率の期間構造を導出し、その時系列変動をモデル化する。金利リスクに対して、日本・米国・欧州国債から導出した金利の変動構造に対して、多変量時系列モデルを構築し、そのモデルに基づいて景気との関係を分析し、リスクマネジメント法を構築する。さらに、各個別価格予測モデルを多変量時系列SUR(見掛け上無相関)モデルと割引率関数のパラメータのカルマン・フィルター時系列モデルを分析するシステムを構築し、日本、米国、ドイツなどの国債に応用する。市場リスクに対しては、市場リスク量計測法、シミュレーション法を考察する。そこでは分布の形状を考慮する。開発されたソフトのもとに多くの検証・分析をし、複数の変動相関構造モデルの間の特徴を把握し、分析モデルを選択する。そのもとで多様なシミュレーションをする。 また、信用リスクに関して国際的評価の高い成果を持つ研究者を招聘して国際シンポジウムを開催し、研究成果を発信するとともに評価を受ける。 またすでに出されている実証結果を優れた論文としての成果にしていくプロセスを推進していく。
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