本研究は、農村の立地を決める要因および立地の意味に着目し、農村貧困の罠そして熱帯雨林の保全と開発を研究するための新しいアプローチを構築する。現地調査とリモートセンシング・GISデータを組み合わせて、ペルーアマゾン辺境地において農村、学校、医療施設、土地利用・被覆等に関する新しいデータを収集する。まず、農村立地および特性(資源、貧困等)を決める要因を特定する。その上で、農村の立地を所与とはせず、立地選択にかかわる意思決定を「内生化」した、農村貧困の罠そして共同体プログラムの理論・方法論を構築し、実証分析を行う。 3年目の今年度は、理論・方法論研究、リモートセンシング分析に加えて、5流域を対象に流域全村調査(約900村)を実施した。データ入力・校正を行い、流域全村調査データベースを構築した。第1流域の一部の地域(100村)を対象に、生物資源の変遷ならびに社会ネットワークについて分析し、共同研究者による国際学会での成果報告を行った。前者では、村レベルの野生動物・水産資源・木材資源が、地域、農村形成時期、土地属性(高地・低地)、村属性(原住民・混血民)によって、どのように変遷したかを示した。後者では、サッカー、種子・育苗、共同労働の村レベルのネットワークの構造と空間分布を明らかにした。また、文献調査ならびに流域全村調査データをもとに、農村標本調査の準備を進めた。特に、農村調査票をデザインし、コンピュータ支援面接(CAPI)ソフトを用いた構造的調査票を作成した。
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