研究課題/領域番号 |
23243048
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
家森 信善 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (80220515)
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研究分担者 |
栗原 裕 愛知大学, 経済学部, 教授 (50249330)
清水 克俊 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (80292746)
小川 光 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10313967)
柳原 光芳 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (80298504)
打田 委千弘 愛知大学, 経済学部, 教授 (50305554)
園田 正 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (60329844)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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キーワード | 地域経済 / 地域金融 / 活性化 / 支店長 / 金融支援 / 産学連携 / リレーションシップバンキング / 中小企業 |
研究概要 |
平成24年度の主たる実績は、2013年3月に大規模金融機関行員向けアンケート調査「地域金融の現場からみた地域密着型金融と中小企業金融の現状と課題に関する実態調査」を成功裏に実施することができたことである。 本年度においては、平成23年度のプロジェクトとして実施した「東海地域における中小企業の経営力強化のための金融機関と自治体等の取り組みに関する企業意識調査」を参考にして、調査先である金融機関の関係者にヒアリングをしながら、メンバーとの間で、学術的な価値の確認を行い、質問票を作成した。 本調査では、全国の金融機関71社(地方銀行20、第二地方銀行17、信用金庫27、信用組合7)の支店長4000人を対象にしたものであり、最終的に1350人からの回答を得ることができた。金融機関の本店を対象にしたアンケート調査はしばしば実施されているが、リレーションシップバンキングや企業再生の最前線で指揮をとっている支店長クラスに対する調査はほとんど行われてこなかった。さらに、業界ヒアリングを行ったところ、金融機関の支店長は、そうしたたぐいのアンケート調査票を受け取った場合、返事をしないか、本店に回送してしまうことが多いとのアドバイスを受けた。そのために、調査に対して協力してもらえる金融機関を個別に探す必要があった。幸い、外部協力者の存在もあり、上述したように1350の回答を得ることができた。 本調査は、金融機関および回答者に関しての質問、所属する支店について、貸出先とのリレーションシップの構築、提供しているコンサルティングの中身、経営支援への取り組み、金融行政への評価、ビジネスマッチングおよびその他について、といった項目について質問を用意している。 平成25年度において、回答結果を詳しく分析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の主たるプロジェクトとして実施した「地域金融の現場からみた地域密着型金融と中小企業金融の現状と課題に関する実態調査」によって、1350の地域金融機関の支店長(ないしそれに準ずる立場の方)からの回答を得ることができた。 この調査票を作るために、地方銀行関係者、信用金庫関係者、信用組合関係者、金融行政当局などとの意見交換を行ったおかげで、現在の金融の現場で行われている実態を明らかにする基本的なデータを整備することができた。具体的には、「貸出先とのリレーションシップの構築」、「提供しているコンサルティングの中身」、「経営支援への取り組み」、「金融行政への評価」、「ビジネスマッチング」などについて深掘りした質問を行っている。 金融機関の関係者はアンケート調査に対して非常に慎重であると言われており、今回のように高い回答率と絶対数としても非常に多くの回答を集めることができた点は、わが国においては前例のないものであると評価できる。 このように、調査の準備、調査の結果については、予想以上の成果を上げたものと考えている。ただし、調査結果の分析は、当初の予定通り、次年度以降になるために、想定通りの進捗であるといえる。 したがって、全体として、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は研究計画の最終年度であり、これまでの研究成果の精緻化を図り、公表することが目的となる。 平成24年度には、二つのアンケート調査を予定通り実施することができた。具体的には、平成24年5月実施の「東海地域における中小企業の経営力強化のための金融機関と自治体等の取り組みに関する企業意識調査」と、平成25年3月実施の「地域金融の現場からみた地域密着型金融と中小企業金融の現状と課題に関する実態調査」である。 本年度の最大の目的は、これらの調査で得られたアンケート結果を詳細に分析することである。すでに、「東海地域における中小企業の経営力強化のための金融機関と自治体等の取り組みに関する企業意識調査」については、昨年度の後半に分析を行い、それを生かして「地域金融の現場からみた地域密着型金融と中小企業金融の現状と課題に関する実態調査」の調査票を作成しているが、アンケート調査結果の公表にまでは至っていない。今年度の前半にはワーキングペーパーの形で公表するとともに、アンケート結果を総合的に分析する形で、論文・著書の形での公表を計画している。 さらに、本プロジェクトの中心的課題として実施した「地域金融の現場からみた地域密着型金融と中小企業金融の現状と課題に関する実態調査」を利用して、地域金融機関の地域活性化の取り組みの課題を明らかにし、これについても論文・著書の形で公表することを計画している。また、これらの研究成果に関しての地域社会向けのシンポジウムを開催し、広く社会に研究成果を還元することを計画している。 また、上記以外に、それぞれのサブグループで進められてきた成果について、アンケート調査の分析において反映する以外に、研究論文の形で公表することを計画している。
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