研究課題/領域番号 |
23243050
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
権 赫旭 日本大学, 経済学部, 准教授 (80361856)
|
研究分担者 |
伊藤 恵子 専修大学, 経済学部, 准教授 (40353528)
楡井 誠 一橋大学, イノベーション研究センター, 准教授 (60530079)
小倉 義明 立命館大学, 経営学部, 准教授 (70423043)
|
キーワード | 企業動学 / 経済成長 / 生産性 |
研究概要 |
長期にわたる経済低迷から脱却するため、ゼロ金利や量的緩和のようなマクロ経済政策、金融ビックバン、会社法改正等の構造改革など、さまざまな施策が実施されたにもかかわらず、日本の経済状況はますます深刻化している。このような現象は、一国のマクロ経済の変化が、ミクロ単位である企業行動や成果に影響を与えるだけでなく、ミクロ単位の変化がマクロ経済の動きにも影響を及ぼすという、ミクロ単位の行動とマクロ経済の相互作用、及び海外のマクロ経済や企業行動の変化が及ぼす影響について十分な理解がないことに起因していると考えられる。このような問題意識に基づいて、本研究では日本の企業動学パターンの変化を確認し、その決定要因を明らかにすることを目指す。そして、日本のマクロ経済の実態や海外のマクロ経済と企業の成長、及び日本企業のダイナミックスとの関連を明確にし、日本経済の持続的な成長のための政策的提言を行うことを目的としている。 企業動学とマクロ経済成長の相互関係を分析するための経済理論構築と、分析に必要な企業・事業所単位の統計が、これまでの研究では十分に整備されていない。そのため、本研究で想定している研究課題を達成するために、連続的な企業動学の異質性を考慮した理論モデル等の構築と、企業レベルのデータに加え、企業と事業所レベルのデータや賃金データなどの複数のデータを接合する必要がある。本研究では、政府個票データを利用するために、経済産業研究所の「サービス生産性」研究プロジェクトと内閣府の「アジア経済のグローバル化とミクロ・データを使用した企業・事業所のダイナミックス」研究会と協力しながら、日本経済全体をカバーする企業・事業所レベルのデータを申請し、研究の方向性を明確にした上で、4つのチームに分かれて、研究を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論、生産性、国際化、金融チームに分かれて、チーム間で有機的な連携と研究協力者、国内外の連帯研究者との間に密接な関係を持つために、企業動学研究会を7回開催した。分析に必要とする『工業統計調査』、『企業活動基本調査』、『海外事業活動基本調査』などの政府の個票データを申請し、入手後、分析を進めている。理論チームは既存の理論モデルを拡張して、分析を行うなど新たな理論モデルの構築も順調に進行中である。政府の個票データと他の民間データの接合作業も準備している。しかし、サーバーの設置とホームページ開設の遅れにより、情報の共有、及び発信の環境を整備中であることは、残された問題として指摘できよう。
|
今後の研究の推進方策 |
政府の個票データを確保できたため、今後は政府個票データの精度を上げたパネル化作業を実施する。また、より深い分析を行うために、金融関連データ、民間の企業データなどを購入して、各データを接合する作業を行う。このようなデータ作業の進めるためには十分な人手を確保する必要があるため、ボスドクの採用と大学院生をRAとして採用して、研究を円滑に運営することを計画している。加えて、人材を養成する教育も積極的に行う。 さらに、サーバーの設置とホームベージの開設を行い、研究者間の情報の共有と研究結果を発信できる体制を早い段階で構築する予定である。
|