日本の株式市場に関して、上場企業間の業績格差が生じていることをより深く分析することと、これまでの研究成果を確認することを目的に、経営的に評価されている企業のトップ経営者(社長もしくは会長)を大学に招き、講演してもらい、同時に議論を行った。この議論に際しては「投資先企業を厳選して、投資ファンドの運用を行っているアセットマネジメント会社」の実質トップにも参加してもらい、投資家の目線を強化した。後刻、そのアセットマネジメント会社と企業評価に関する意見交換することで、企業間格差の要因に関する確度を高めることができた。 なお、日本市場における株価形成と上場企業間の業績格差に関する成果をトルコのコッチ大学で発表し、海外研究者との意見交換を行うことで、株式市場の評価に関してグローバルな視点を加えることができた。 東欧においては外資導入による民営化の逆回転が起きている。特にハンガリーでは資産規模の大きい銀行への銀行税に加え、外貨建てローンを強制的に自国通貨のフォリント建てローンに転換させ、首相側近のマトルチ氏が総裁となった中央銀行は「成長のための資金計画(FGS)」を行い、自国資本の銀行中心に緩和措置を行っている。そのため外資は一部撤退を始めている。2015年末に成立したポーランド新政権はこの政策を模倣しようとしている。これらについて現地や周辺国で調査を行い、その結果「ハンガリーにおける『成長のための資金計画』(FGS)について」(京都大学「経済論叢」第189巻第4号、2016年3月、pp.57-68)としてまとめた。
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