研究課題/領域番号 |
23243052
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
筒井 義郎 甲南大学, 経済学部, 教授 (50163845)
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研究分担者 |
大竹 文雄 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (50176913)
MOVSHUK Oleksand 富山大学, 経済学部, 教授 (50332234)
亀坂 安紀子 青山学院大学, 経営学部, 教授 (70276666)
白石 小百合 横浜市立大学, 総合科学部, 教授 (70441417)
川口 大司 一橋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (80346139)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 幸福のパラドックス / 高頻度のパネルデータ / 結婚幸福度調査 / 出産幸福度調査 / 順応仮説 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、結婚と出産に関する月次調査を実施した。対象者は、それぞれについて、男女各200名(50名のコントロールサンプルを含む)、計800名のサンプルである。これにより、3年間にわたる月次調査は終了した。これまでも毎月データのクリーニングを行っていたが、改めて全調査の結果を統合し、各回の回答者数などのデータ情報を整理した。さらに、これまでの予備的分析を踏まえて、研究分担者であるモヴシュク・オレクサンダーと亀坂安紀子、研究協力者である山根承子らと、2015年2月までのデータを用いて、結婚と出産のイベントの前後で幸福感がどのように変化するかの本格的な推計を行った。その結果は、結婚については、結婚の時に幸福感の高まりがみられること、結婚の前の期間に幸福度の高まりがみられること(anticipationがある)、結婚後の幸福感の低下はあまり見られないこと(adaptationがない)、などの特徴が見いだされた。出産の結果に関する解釈については現在検討中である。このほか、いくつかの論文を執筆した。Virginia大学の心理学教授の大石繁宏氏らと、幸福(あるいは効用)の最大化を追究する人(maximizer)は適当なところで妥協する人(satisficer)より不幸であるということを、日米でアンケートを実施して明らかにした。この研究はJournal of Research in Personalityに掲載された。また、山村英司氏、研究協力者の山根承子氏らとともに、東日本大震災の前後で、幸福感と人々の信頼感の関係がどのように変化したかを研究した。この論文はSocial Indicators Researchに採択された。そのほか、幸福度と選挙に関する論文3本と何をしていると幸福かに関する論文を執筆し、計4本のディスカッションペーパーを刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最大の目的である、結婚・出産による幸福度変化の月次調査を継続実施し、月次データ収集を完了した。また、そのデータを用いて、幸福度などが結婚、出産によってどのように変化するかについての本格的な分析を開始し、興味深い事実を確認した。さらに、幸福度に関する様々な論文を執筆し、査読付き学術雑誌に2編、ディスカッションペーパーに4編刊行した。
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今後の研究の推進方策 |
結婚・出産によって幸福度がどう変化するかを調べる月次アンケート調査が終了したので、最終年度では、そのデータを用いて分析を行う。また、このデータを用いて、その他の追加的な問題も分析する。適当な時期に科研のメンバーの全体会議をもって、討議する予定である。Adaptationの問題を調べるには、長期のデータが必要なので、今年度は年末ごろに1回調査を行うことを予定している。それと並行して、その他の幸福度の調査データを使って、いくつかの研究論文を執筆する。
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