研究概要 |
5年間の研究期間初年度にあたる2011年度においては,計画調書の「研究ロードマップ」に即し,研究史とメンバーの過去の研究成果に関する相互理解を深め,方法論モジュールについて議論し,産業別研究(シリーズAと名称決定)の対象を定め〔下記1~7参照〕,本研究の略称をCARISと定めた。 1.5/17と11/13の2回,大阪経済大学にてCARIS定例会を実施,各自の研究報告,組織運営に関する討議を実施。 2.EBHA(ヨーロッパ経営史学会)アテネ大会〔8/25・26〕にて,同学会初の日欧合同セッションを実施。組織者:黒澤・Bouwens,セッション名:Competitive Advantage of Regions : Comparative Studieson Industries.報告者:黒澤,Bouwens〔他〕,橘川,Iversen〔他〕,中島,ドンゼ,司会:ヨング,コメント:Schroter,橋野。 3.上記学会翌日〔8/27〕,海外研究協力者4名との間で,方法論と運営に関し討議。 4,藤岡・崔らが組織する英国Cardiff大ワークショップ等,他の分担者も各自,国内外で研究成果を発表。 5.3/22・23の両日,姉妹プロジェクトであるユトレヒト大の大型研究〔略称:BEAT〕の初回会合に,黒澤・橘川・崔が参加,今城が報告文書を寄せた。同会合にはドイツ経営史学会(A.Schneider),グラスゴウ大学(R.Stokes)も連携組織として参加。 6.ばん澤,西村,平尾,李らも,上記の定例会その他で研究成果を発表した。 7.外部講師招聘によるセミナーを2回(計3名)実施(12/16,M.Kipping氏,1/22,塩地洋氏・廣田義人氏)。 上記の活動により,産業史研究・国際比較に必要な分析基準・概念・方法について,基本的な共通認識を構築し,またBEATとの間で実質的な連携の基礎を構築しえた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的である(A)競争力のマッピング,(B)産業史分析の体系化,(C)欧州・東アジアといいう「地域」単位の産業動態・競争力分析の3点では,(A)が試行にとどまった点を除くと,初年度としては十分な成果をあげた。また,研究上の課題として記した以下5点,すなわち,(1)産業別の「地域」内部構造の分析,(2)欧州を対象にすることでの独自の知見の獲得,(3)地域間類型比較・地域間モデル移転,地域内類型のグローバルな位置,(4)産業論の体系化,(5)歴史学固有の方法論の適用,(6)濃密な国際連携,(7)概念・分析手法のすりあわせ,外国史・日本史専門家の相互乗り入れについても,上記の研究組織と運営によって,おおむね達成しえ,特に姉妹研究組織との国際連携では期待以上の実績を挙げた。総じて計画通りに進展している。 今年度は,EBHA=経営史学会合同大会〔パリ〕やWEHC2012〔南ア〕にてメンバーの多くが各自報告を行う。また,9月にはグラスゴウ大にて,また3月にはフランクフルトにて,欧州の姉妹プロジェクト〔BEAT〕にメンバーを派遣し,産業史研究・国際比較を深める。年2回の定例会を開催する。また外部講師によるセミナーを2回以上実施する。さらに,翌年度に予定されている国内の中規模研究集会〔経営史学会富士コンファレンス主催者公募に応募〕を,本科研会合,連携のBEATプロジェクトの会合と連続させる形で実施する予定であり,そのための準備を行う。
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今後の研究の推進方策 |
また研究の協業生産性を向上させるために,具体的な手段として,(1)共通概念リスト,(2)共通文献リスト,(3)定例会・海外研究ワークショップでの報告長期スケジュールの作成,(4)企業・産業基礎データベース作成への本格着手,(5)海外研究協力者の寄稿主題・協力形態の明確化を行う。
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