研究課題/領域番号 |
23243055
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
黒澤 隆文 京都大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (30294507)
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研究分担者 |
橘川 武郎 一橋大学, 商学研究科, 教授 (20161507)
ばん澤 歩 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (90238238)
西村 成弘 関西大学, 商学部, 准教授 (70511723)
中島 裕喜 東洋大学, 経営学部, 准教授 (50314349)
橋野 知子 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (30305411)
崔 裕眞 立命館大学, テクノロジー・マネジメント研究科, 准教授 (20589725)
ヨング ジュリア 法政大学, 経済学部, 教授 (90328097)
藤岡 里圭 関西大学, 商学部, 教授 (00326480)
ドンゼ ピエール・イヴ 京都大学, 白眉センター, 准教授 (20635718)
今城 徹 阪南大学, 経済学部, 准教授 (20453988)
平尾 毅 諏訪東京理科大学, 経営情報学部, 准教授 (50361861)
李 澤建 大阪産業大学, 経済学部, 准教授 (40570495)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 産業史 / 競争力 / 地域 / ヨーロッパ / 東アジア / 経営史 / 国際情報交換 / 国際研究者交流 |
研究概要 |
①EBHAと経営史学会の合同大会(パリ,8月)を第一段階の成果発表の場と位置づけ,全員が申請,8名が採択され9の報告を行った。大会翌日には現地でCARISワークシッョプを実施(李らが参加),海外研究協力者と緊密に協議した。上記合同大会採択報告から,連関の深い3本(黒澤・中島・ドンゼ)とヨング論文とで英文査読誌特集号掲載の準備を進め,他報告も各自公刊作業を進めた。 ②姉妹プロジェクトのBEAT(ユトレヒト大+3組織)との提携では,2012年9月にグラスゴウ大学で,2013年3月にはフランクフルトで,各2日間,濃密な議論を行った。産業史研究の意義と日本での研究蓄積の厚さ,データベース構築の必要性が確認された。BEATでは,対象4産業のうち2産業(担当:繊維=橋野・崔〔2012年度〕,電機=中島)につき,国際共著論文の執筆を日本側が統括する。関連で,2013年EBHA大会(ウプサラ)にセッションを予定〔採択〕し,英文査読誌特集号の準備を進めた。 ③2012年12月,海外研究協力者のM. Kippingを日本に招聘し,英文出版に目処をつけた。2013年2月16日と3月2日に,計4名の研究者を欧・米より招聘,ワークシッョプを実施(予算は京都大学)。これを基礎に2013年EBHAにセッションを申請〔採択〕(黒澤・橘川他報告)。 ④ドンゼ・西村は本科研の基礎でもある技術移転英文論文集公刊の最終段階に携わった。藤岡は日英共編の論文集を公刊し,ヨングは日=タイ経営史会議,EBHAセッション〔採択〕を進展させた。雑誌では,『経済論叢』(京大),Kyoto Economic Review〔今城等〕特集号を準備した(計8本)。 ⑤定例研究会を2012年6月9日と10月27日に実施,また2013年1月27日に臨時会を開催,2013年9月の富士コンファレンス/CARIS/BEAT会議を組織した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定より進捗しているのは,以下である。①中間的な成果報告の場としての日本国内開催の国際会議を,1年間前倒しで実施することとなり,それに合わせ産業史からなるシリーズA関連の研究も前倒しで進んでいる。②英文出版準備も,予定よりも早く,具体的な企画を固め,2013年中に入稿の目処をつけた。③英文査読誌特集号も,前倒しで実施されいる。 当初の予定通りの達成度といえるのは,海外の姉妹プロジェクト(BEAT)との連携である。①欧州での計3回のBEAT会合に参加。②関連の国際学会セッション,英文査読誌特集号での国際共著論文の準備も,予定通り実現している。③海外研究協力者との関係も,メンバーの入替があるものの,予定通りである。④2012年のEBHA/BHS合同大会に8名が参加し研究成果を示し,またその他のメンバーも同水準の発表機会・媒体で研究成果を公表している。⑤申請時に計画された「モジュール」は休眠状態であるが,複数のプラットフォーム(報告機会・研究主題・媒体)を用意し,分担者の自由意思でエントリーを求める形を実現したことで,実質的には同一の効果があがっている。 当初予定よりも遅れが目立つのは,以下である。①「産業別」でなく「地域」を単位とするBシリーズの具体化。②BEAT連携産業以外での,国際共著論文の準備。③第一段階の重要な課題である「産業競争力マッピング」。このうち①は,上記の国際会議の前倒しに伴う変更の結果であり,必ずしも低い達成度を示すものではない。②について,組織全体でどう支援するが課題であるが,分担者の主体性を損なうマイナスもあり得,自己目的的に進めるべきものではない。③については,2013年9月の連続会議において,一定の成果が出るものと期待される。 以上全体的に評価するならば,当初計画において想定したペースを実質的に実現する形で,順調に研究が進んでいるといえよう。
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今後の研究の推進方策 |
以下の4点を中心に研究を推進する。 ①プラットフォーム提供・企画公募型に「モジュール」を正式に再編する。一定の幅の明確な鍵概念を設定し,研究集会を組織し併せて原稿提出期限を定める形をで研究を推進する。原稿を特定の時期に集約し,主題の整合性と論文の質を基準にパッケージ化して随時,日英双方で公刊を進める。2013年9月の連続会議はその代表的なものであり,20本近い論文を一斉に集め,選抜のうえ英語論文集・雑誌特集号に集約公刊する。同様に,2014年3月フランクフルト国際経営史会議,2015年8月京都世界経済史会議も,同種の機会として位置づける。分担者主導で並行的にサブ・モジュールを具体化する。 ②研究補助者の積極活用による産業史データベースの構築。国際的にみて,日本の産業史研究の蓄積は厚く,また本プロジェクトに匹敵する規模と研究期間を持つ研究組織は限られる。そこで,上述の各分担者・代表者による個別研究とは別に,特定産業に限定してであれ,国際比較産業史研究の基礎となるデータの整理・公刊を目指す。予算制約の厳しい2013年を乗り越えたのちには,このデータベース構築を目的とした研究補助者の確保のために,優先的に予算を振り向る。2013年度にはその準備作業を行う。当然ながら,姉妹プロジェクトであるBEATとの協力体制をも活用する。 ③海外研究協力者のオープン化。当初計画では,主要地域から固定的に各1名の海外研究協力者を想定し,実際に協力を得た。しかし今後は,よりオープンに,モジュール的な主題ごとに最適な研究者に協力を依頼してゆく。特に2014年以降,予算制約の壁を越えた後には,Call for Paper方式の会合を充実させる。 ④2013年9月の連続会議の後,日本語出版企画に着手し,「目にみえる成果」を早い段階で公刊し,プロジェクトの認知度を上げてゆく。国内の連携研究者も募る。
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