研究課題/領域番号 |
23243056
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
藤村 修三 東京工業大学, 大学院イノベーションマネジメント研究科, 教授 (90377044)
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研究分担者 |
日高 一義 東京工業大学, 大学院イノベーションマネジメント研究科, 教授 (50565736)
辻本 将晴 東京工業大学, 大学院イノベーションマネジメント研究科, 准教授 (60376499)
尾形 わかは 東京工業大学, 大学院イノベーションマネジメント研究科, 准教授 (90275313)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高次システム / 技術の階層 / 事後モジュール化 / アーキテクチャ / 共生的協業 |
研究概要 |
高次システムの構築・運営と技術との関係を明らかにする目的で、東日本大震災での東京電力福島第一発電所と東北電力女川発電所の比較研究を行い、存在を否定できないが確定できないリスクに対する対処、技術知ではなく科学知を基本とするリスク管理の必要性を明らかにした。この結果は経営倫理学では世界最高峰に位置する米国経営倫理学会年次総会一般講演に採択された(Taku Hirano and Shuzo Fujimura, "The Study Of Function Of Engineer Professional Associations And Ethical Regulation In Science-And-Technology Governance", 2012 Society for Business Ethics Annual Meeting, Boston MA, August 2-5, 2012, American Society for Business Ethics.).一般投稿で日本から採択されたのは我々の1件だけであり、他の日本からの発表は日本経営倫理学会の推薦枠による。 また、有力企業の経営者が創立した価値創造フォーラム21様の協力により、25年度から産学連携での「産業間協創システム研究会」の活動開始が決定した(25年4月1日に全日空、千代田化工建設、富士ゼロックスの3社からの研究員を迎え得て発足)。 その他本研究に関連した外部発表は、英文学術誌論文1報(査読有)、国内学術論文誌2報(査読有)、国際会議5件(査読有、内1件は招待)、国内学会1件(査読有)。 海外との連携に関してはハンブルグ工科大学と部局間協定を結び、留学生の相互派遣と共に本研究に関する課題の共同研究を25年度より進めることに合意した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ予定通り。高次システムを生み出すための産学連携での研究会を「産業間協創システム研究会」の名称で、全日空、千代田化工建設、富士ゼロックスの三社から研究員を迎えて25年4月1日に発足させた。参加企業は本年度中も増える予定である。 研究面でもほぼ予定通りと考えている。異なる産業が共同で高次システムを創造するために必要となる要素について、まずアナロジーと創造性を発揮する人財との関係を実証した。具体的には開発工程において「できる」と評価される創造的人財ハイパフォーマー(HP)の思考方法について調査し、HPは課題を構造化し考え、メタ知識を合成しメタレベルでのシステム解を構成しそれに環境要因を加味して具体的な解に至る思考法を取っていることを明らかにした。その際一般的な技術者のメタレベルでのシステム解の構築能力は経験に沿って学習曲線に従って向上するのに対し、HPでは経験に依存しないことも明らかにした。(国際学会で発表) また、産業アーキテクチャを基にした技術の分析を液晶パネル、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、光半導体、有機材料、乗用車、大型車(バス・トラック)に対して行い、海外学術雑誌(1報)、国際会議報告(5件)の形で発表した。(他に国内学会発表有) さらに、存在する高次システムとして、東日本大震災の影響あり、以前から行っていた原子力発電事業の安全性の研究を発電炉、発電所、といったハードウェアではなく、発電事業と言うシステム総体として捉え、科学知と技術知に対する認知の違いが震災被害に与えた影響を東京電力福島第一発電所と東北電力女川発電所を比較することで明らかにした。この成果は経営倫理学では最高峰の学会である米国経営倫理学会年次総会の一般講演に唯一我が国から採択された。(他は日本経営倫理学会からの推薦による発表)
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今後の研究の推進方策 |
まず「産業間協創システム研究会」であるが、25年度は参加企業を増やし、研究会活動を軌道に乗せることが目的となる。すでに参加を前提に人選中の企業が2社、参加を検討中の企業が3社あるが、価値創造フォーラム様の協力も得て年度中に10社程度に増やすことを計画している。26年度には各産業の研究者からそれぞれの産業での課題を構造化抽象化し報告すると共に、複数の異業種の協力によるそれら課題の解決策の検討を行う。来年度には国内外で成果発表ができるよう、基本的なデータの取得整理は済ませる予定である。 研究では、これまでのアーキテクチャによる産業分析、産業アーキテクチャを基にしたイノベーション理論の構築を進めており、基礎となるDSM(Design Structure Matrix)とMD(Axiomatic Design)の等価性を証明したので、本年度国際学会での発表と海外一流学術雑誌への投稿を行う。また、この理論を基に俗に言う「目利き」と呼ばれる創造性における洞察能力について解明すると共に、アセンブリ産業、プロセス産業の基本構造の理論化を進める。 高次システムの事例研究はこれまでと同様に進める。現在医薬品の安全情報の取扱に着目して高度医療システムについての事例研究を進めており、本年度中に国際学会に投稿する予定である。 また、ハンブルグ工科大学と「高齢化社会のイノベーション」をテーマとして共同研究を進める予定であるが、その中でも、医療システム、経験者の知識活用、等をサブ・テーマとして高齢化社会のための高次システムについて研究を開始する予定である。
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