研究課題
本研究は、1987年から継続する全国高齢者の追跡調査のデータ(計8回)と、戦後生まれの世代を含む新しい高齢者パネルの初回調査データを用いて横断的・縦断的な分析を行い、1)高齢者の心身の健康や主観的幸福感、社会関係・活動における実態や加齢に伴う変化の仕方、および2)これらの健康・心理・社会的側面の規定因について、出生コーホートによる差異や共通点を、ジェンダー要因も視野に入れて明らかにすることを目的とする。2012年9月~12月に、以前からの追跡対象者(76歳以上)と、新しく無作為抽出された新規対象者(60~92歳)に対する8回目の全国調査(訪問面接調査)を実施し、約3千人から回答を得た。2013(平成25)年度は、この第8回調査を統合した縦断データのクリーニング作業を7月まで実施した。その後メンバー各自が完成したデータの解析を行い、1)国勢調査データとの比較による回答者の偏りの検討、2)1987年、1999年、2012年の3時点または1999年と2012年の2時点の回答者について、健康・心理・社会的側面などからの多面的比較、2)生活満足度の関連要因におけるコーホート、年齢、調査年による差異の検討、3)身体的・精神的健康の縦断的変化と関連要因の分析等を行った。研究成果の一部は学会で発表し、論文を執筆した。さらに、第8回調査の結果をまとめた冊子を2月に発行し、調査協力者に送付するとともに、調査のホームページ上で公表した。また、データ解析と並行してパネルの管理を行い、今後の追跡調査からの脱落防止や、死亡・施設入所状況の把握を目的として、対象者に年賀状や上記の冊子を送付した。これらの郵便物には連絡先のフリーダイヤルの明示や、返送用はがきの同封が行われており、2013年度末までに約80名の異動(死亡・転居)を把握した。
2: おおむね順調に進展している
第7回調査(2006)までを分析した結果が、学会や論文等で順調に発表されている。また、第8回調査(2012)データについても、2013(平成25)年7月末より研究メンバー各自が分析可能な状態になり、2014(平成26)年2月には、分析結果の第一報が冊子にまとめられ、対象者へのフィードバックが行われた。第8回調査の分析結果の一部は、すでに学会発表が行われたり、発表が予定されたりしており、論文の投稿準備も進んでいることから、最終年度となる2014年度には、これらの研究成果の公表が進むことが期待できる。
本計画内でのデータ収集はすでに終了しており、データ解析や学会・論文等による研究成果の公表を残すのみとなっている。最終年度となる2014(平成26)年度は、1)定期的に会合を開催し、各自の分析結果をメンバー間で共有・議論する、2)第8回調査(2012)の研究報告書を作成するなどの取り組みを通じて、より多くの優れた研究成果を公表できるようにする。また、本研究は縦断研究のため、上記の取り組みの中で、第8回調査の問題点や残された研究課題についても明らかにし、次回以降の調査に活かせるようにする。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)
社会心理学研究
巻: 29 ページ: 133-145