研究課題/領域番号 |
23243071
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
楠見 孝 京都大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (70195444)
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研究分担者 |
子安 増生 京都大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (70115658)
道田 泰司 琉球大学, 教育学部, 教授 (40209797)
MANALO Emmanuel 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30580386)
林 創 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (80437178)
沖林 洋平 山口大学, 教育学部, 准教授 (20403595)
平山 るみ 大阪音楽大学短期大学部, その他部局等, 助教 (30533442)
信原 幸弘 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (10180770)
坂上 雅道 玉川大学, 付置研究所, 教授 (10225782)
原 塑 東北大学, 文学研究科, 准教授 (70463891)
三浦 麻子 関西学院大学, 文学部, 教授 (30273569)
小倉 加奈代 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 講師 (10432139)
乾 健太郎 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (60272689)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 批判的思考 / 市民リテラシー / 科学リテラシー / 科学コミュニケーション / 大学教育 / メディアリテラシー / 情報信頼性 / リスク |
研究概要 |
課題1「市民リテラシーと批判的思考」では、課題1-1「市民リテラシーと批判的思考態度の解明」においては、心理学、人口学、リスクなどの分野のリテラシー調査を行った。さらに、批判的思考が、SNS利用、熟達、叡智、リスクに対する態度に及ぼす影響を解明した。課題1-2「批判的思考育成のための教育プログラム作成と授業実践」では小中高大学で実践研究を行い、とくに、思考力(質問力)を高める実践における小グループでの学習者間インタラクションを分析した。また、大学初年次生を対象にした批判的思考トレーニング教材の活用によって、批判的思考態度が向上し、考え方に対する新たな気づきが生まれることを明らかにした。あわせて、批判的思考力、読解力テストの開発を進めた。 課題2「神経科学リテラシーと科学コミュニケーション」では、大学での授業実践と評価を行い、批判的思考の神経科学的基盤について考察した。また、批判的思考において理性的吟味能力だけでなく、状況に応じた適度な情動が必要なこと、加えて、批判的思考に必要な評価能力に関連して、人間の本性に潜む通時的な価値認識の歪みを検討した。また、振り込め詐欺からの高齢者保護方策と批判的思考力との関連を考察した。さらに、対話型科学コミュニケーションを根拠づける〈トランス・サイエンス〉を調査し、その特徴と限界を考察した。 課題3「ネットリテラシーと情報信頼性評価」では、福島原発事故による放射能汚染に関する情報行動について第4波調査を実施し、情報メディア信頼性評価への高次リテラシーや知識、不安の影響の時系列変化を分析した。さらに、情報の信頼性判断を支援する関連情報提示システムについては、処理対象をマイクロブログに拡張し、情報分析ポータルサイトの開発を進めた。一方、合意形成に類するテキストチャット対話の分析により、会話の円滑さや冗長性が相互信頼感形成に影響する可能性を確認した
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画にしたがって、3つの柱に基づいて、全体会議において、分担研究者間の相互の情報交換を行いながら、調査(全国調査、パネル調査など)、実験、および実践研究(小中高校、大学)を進めてきた。さらに、成果を、学術論文および学会発表などを通して活発におこなった。とくに、情報処理学会第154回ヒューマンコンピュータインタラクション研究会においては、本研究の成果を元にした招待講演および特別セッションにおける発表が行われた。このように、他の分野の研究者に向けて、さらに、市民、中学・高校の生徒や教員など外部に向けての情報発信を、講演会、ラジオ、新聞などを通じておこなった。また、研究成果に基づいて、学生や市民に向けた図書を編集中である。
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今後の研究の推進方策 |
課題1「市民リテラシーと批判的思考」における課題1-1「市民リテラシーと批判的思考のアセスメント」では、科学、人口学、健康等の分野における市民リテラシーと批判的思考、叡智との関係を明らかにするために調査を行う。あわせて、批判的思考力の測定ツールを開発する。課題1-2「批判的思考育成のための教育プログラム作成と授業実践」では、小中高大学生、社会人に対する批判的思考の教育実践と、その効果を分析する。とくに、質問力育成のための学習者間インタラクション、探究力とリサーチリテラシーのためのプロジェクト学習、外国語教育における批判的スキルの育成に焦点を当てる。 課題2「神経科学リテラシーと科学コミュニケーション」では、神経科学リテラシーの授業を実践し、効果測定に基づいて、批判的思考との関連、教材・授業のあり方について検討し、教科書の改訂を進める。また、批判的思考と情動の関係を解明し、適度な情動の必要性を考察する。あわせて、対話型科学コミュニケーションにおける社会的合理性と人々の批判的思考力との関係を明らかにする。 課題3「ネットリテラシーと情報信頼性評価」では、2011年以来継続して実施してきた4波にわたる市民対象のパネル調査データに基づいて、東日本大震災後の放射能被害に関する意識と情報収集に際するメディアの信頼性評価、ネットリテラシーの関連を時系列的に検討する。また、夫婦間のコミュニケーション行動に焦点を当てて、会話の信頼性醸成モデルに基づいて検討する。さらに、これまで開発してきた、情報信頼性判断支援のための関連情報提示技術を統合し、拡張思考環境の構築と評価を進める。 さらに、これらの3つの課題間連携を一層密にし、成果全体を統合したモデル構築を進める。そして、市民に向けたアウトリーチ活動を進め、さらに、市民リテラシーと批判的思考を向上させる科学コミュニケーションの手法について検討する。
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