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2012 年度 実績報告書

災害時の効果的かつ実際的な心理社会的支援活動のための教育訓練プログラムの研究

研究課題

研究課題/領域番号 23243072
研究機関室蘭工業大学

研究代表者

前田 潤  室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90332478)

研究分担者 青柳 宏  文化学園大学, 現代文化学部, 教授 (30352488)
斎藤 和樹  日本赤十字秋田看護大学, 看護学部, 准教授 (50289766)
須藤 秀紹  室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90352525)
研究期間 (年度) 2011-11-18 – 2014-03-31
キーワード災害 / 心理社会的支援 / 教育訓練プログラム / 東日本大震災 / 国際情報交換
研究概要

本研究は、我が国の災害支援の専門機関である日本赤十字社(以下日赤)の災害時における心理社会的支援活動に着目し、より効果的な心理社会的支援活動を行うための教育訓練プログラムに関する研究であるが、東日本大震災の発災や年度途中での再採択となったことを受けて、より実際的な災害支援活動のフィールドワーク研究を含む研究へと発展させていく必要があった。H24年度の研究実績として次の4点を挙げることが出来る。
① (被災地及び避難地域での被災者及び支援者支援)日赤は東日本大震災で初めて仮設住宅支援を行い、日赤や様々な民間団体はさらに心理社会的支援事業として青少年を対象とした戸外活動を実施し、これら活動への協力と実施状況の調査を行った。また、サイコドラマによる支援者支援を被災県で試みた。
② (日赤こころのケア活動従事者へのアンケート調査およびアプリケーションの試作)東日本大震災に際して行われた日赤の心理社会的支援活動に従事した要員に、活動の実態や教育研修・訓練在り方についてのアンケート調査を実施した。またコミュニケーションシステムを提案して、心理社会的支援活動のための教育訓練のためのアプリケーションを試作した。
③ (国際情報交換)オーストラリアのサイコドラマの第一人者や国際赤十字・赤月社連盟の心理社会的支援センター所長を招いて研究交流と、被災地での支援活動を共同調査を行い、国際的観点から日本の心理社会的支援活動の特徴を検討した。
④ (知見の公表と学術交流の推進)国内外の学術研究集会で積極的に知見を公表し、学術及び専門技能の向上のために研修にも参加した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

日赤の支援活動や教育研修活動に焦点化して、研究を進めることを当初計画していたが、予期せぬ東日本大震災によって、実際的支援活動を研究対象に取り入れながら進める研究となった。こうした不測の事態への対応は研究計画に織り込まれていたが、予想以上の大規模災害によって、日赤の支援活動自体が前例のない長期にわたる支援活動となり、さらに仮設住宅支援や青少年育成事業を行うなど異例の多様な支援活動を展開する事態となった。
こうした支援活動の広がりは、心理社会的支援活動として重要な研究の進展につながるが、予定していたアンケート調査の実施が遅れることとなった。しかし、集計と分析は年度を超えることになるが、H24年度中にアンケート調査を実施することが出来たことは、おおむね研究の順調な進展と考えられる。
また、海外の研究者や実際家との交流を必要な場合に行い、研究協力を依頼することを昨年度計画したが、H24度には、オーストラリアやデンマークの研究者を招聘し、災害支援教育や心理社会的支援プログラムについての検討を行うことが出来た。
以上のような支援活動の展開に関わる調査研究や海外研究交流を通じた研究成果の公表も行っており、一定度の研究計画の達成が得られているものと考える。

今後の研究の推進方策

H25年度は本研究の最終年度である。
H24年度に引き続き日赤や民間団体が行う仮設住宅支援や青少年に対する心理社会的支援活動に協力しつつ、その活動の実態調査を行うとともに、サイコドラマを応用した支援者支援活動を行ってその効果と課題を明らかにする。
また、H24年度に実施したアンケート調査のとりまとめと分析を行い、東日本大震災で支援活動に携わった日赤のこころのケア要員による既存の教育研修プログラムに対する評価と今後の研修のあり方についての意見を集約する。その上で、既に試作した教育研修プログラムのアプリケーションを用いて被験者実験を行いながら、教育研修プログラムの最適化を提案する予定である。
災害支援の教育や心理社会的プログラムの発展は、我が国だけでなく、国際的な課題の一つであり、国内外の研究者や実務者と情報交換を図りながら、これら知見を積極的に公表して研究の発展に努める。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 緊急事態での心理社会的支援体制(3)-東日本大震災における日本赤十字社発災直後例-2013

    • 著者名/発表者名
      前田潤
    • 雑誌名

      室蘭工業大学紀要

      巻: 62 ページ: 113-123

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 震災復興に向けての心理劇2012

    • 著者名/発表者名
      前田潤
    • 雑誌名

      心理劇

      巻: 第17巻 ページ: 3-7

    • 査読あり
  • [学会発表] 演習におけるチームワーク向上のためのソーシャルゲームの開発2013

    • 著者名/発表者名
      須藤秀紹
    • 学会等名
      第40回 知能システムシンポジウム
    • 発表場所
      京都市
    • 年月日
      20130314-20130315
  • [学会発表] 心理社会的観点から見る中長期的支援2013

    • 著者名/発表者名
      前田潤
    • 学会等名
      第20回日本産業ストレス学会
    • 発表場所
      市川市
    • 年月日
      20130119-20130120
    • 招待講演
  • [学会発表] 東日本大震災から学ぶ広域支援体制の課題ー岩手県および宮城県の赤十字こころのケア活動からー2013

    • 著者名/発表者名
      前田潤
    • 学会等名
      第18回日本集団災害医学会総会・学術集会
    • 発表場所
      神戸市
    • 年月日
      20130117-20130118
  • [学会発表] トラウマ治療の試み-構成的モデルを用いて2012

    • 著者名/発表者名
      前田潤
    • 学会等名
      日本心理劇学会第18回大会
    • 発表場所
      東京都
    • 年月日
      20121214-20121216
  • [学会発表] 東日本大震災日赤こころのケアセンターに見る組織的展開の特徴と今後の課題2012

    • 著者名/発表者名
      前田潤
    • 学会等名
      第48回日本赤十字社医学会総会
    • 発表場所
      高松市
    • 年月日
      20121017-20121019
  • [学会発表] 支援者支援ー概念と実践2012

    • 著者名/発表者名
      前田潤
    • 学会等名
      日本心理学会第76回大会
    • 発表場所
      川崎市
    • 年月日
      20120911-20120913
    • 招待講演
  • [学会発表] From Global Anxiety towards a Future of our Own2012

    • 著者名/発表者名
      Jun Maeda
    • 学会等名
      A one day conference on the 5th May 2012 at The Abbotsford Convent in Melbourne,Australia
    • 発表場所
      Melbourne
    • 年月日
      20120503-20120505
  • [学会発表] A focus on trauma applying the method of Clark Baim

    • 著者名/発表者名
      Jun Maeda
    • 学会等名
      Trauma,Grief&Loss:A one Day Training Workshop
    • 発表場所
      Melbourne

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公開日: 2014-07-24  

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