研究課題/領域番号 |
23243081
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松田 武雄 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90175604)
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研究分担者 |
宮崎 隆志 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10190761)
河野 明日香 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (10534026)
牧野 篤 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (20252207)
太田 美幸 立教大学, 文学部, 准教授 (20452542)
上野 景三 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (30193824)
石井山 竜平 東北大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (30304702)
藤村 好美 群馬県立女子大学, 文学部, 教授 (50372694)
李 正連 東京大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60447810)
大串 隆吉 首都大学東京, 都市教養学部, 名誉教授 (70086932)
内田 純一 高知大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (80380301)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 社会教育福祉 / コミュニティ教育 / コミュニティ・ガバナンス / 社会教育学 / 社会サービス |
研究概要 |
1.日本の調査研究:本研究課題において最も重要な調査対象の一つは長野県松本市である。24年度は安原地区と城北地区の調査を実施し、それぞれ調査報告書を作成した。そのほかに集合住宅地区を対象に調査を実施した。具体的には松戸市常磐団地の孤独死予防センター、横浜ドリームハイツのコミュニティ・カフェ、大牟田市新地地区公営住宅の地域交流施設等の調査を実施した。 2.欧米の調査研究:アメリカ・シアトル公共図書館の社会サービス、ポートランド市のカウンティ図書館など、コミュニティ・ガバナンスと社会教育福祉に関する調査を実施した。スウェーデンのストックホルム市を対象に地区委員会制度と社会教育福祉との関わりについて調査を実施した。また、ストックホルム市とリンシェーピン市におけるフェレーニングとヘムゴードの調査も実施した。ドイツでは、マインツの青少年局、マインツ社会研究所、多世代の家を訪問、調査した。また、カッセルの社会局、ホームレス施設、公民の家、民衆大学を訪問、調査し、ドイツの社会教育福祉の施設に関する調査を実施した。さらに、アイルランドのコミュニティ教育の調査を実施した。具体的には、ダブリンとベルファウストのコミュニティ教育施設を訪問、調査した。 3.アジアの調査研究:まず韓国の教育福祉政策と教育福祉投資優先支援事業について調査研究した。中央アジアについては、タジキスタンにおける地域保健活動について調査した。中国については、農村部から都市に移住してきた青年労働者に対する教育福祉活動とコミュニティ教育の実態を調査した。さらに、カンボジアのCLC活動について調査した。 4.国際会議の開催:11月にスウェーデンから2人の社会教育学研究者を招聘し、名古屋大学で国際会議を開催した。スウェーデンの社会教育学に関する報告とともに、科研メンバーによる報告も行い、学外からの参加者も含めて、2日間にわたり討論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した計画に沿って、ほぼ実施することができた。研究実績の概要に記した通り、日本、欧米、アジアの各国におけるコミュニティ・ガバナンスと社会教育福祉に関する政策、活動、施設等について調査し、理論の検討を行った。特に、長野県松本市に関する調査は、10カ月間ほどの時間をかけ、研究室の大学院生にも参加してもらい詳細な調査を実施し、地域における社会教育福祉活動と住民意識について考察した。 スウェーデンから2人の社会教育学研究者を招聘し、国際会議を開催できたことも重要な成果であった。特に日本とスウェーデンの社会教育学について比較検討を行うことができ、双方ともに有益であった。 研究分担者が北海道から九州にわたっているため、なかなか集まりにくいが、24年度は国際会議以外に2回、名古屋大学で1泊2日の研究会を行い、各自の報告を行うとともに意見交換を行った。これによって、共通の問題意識を深めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
各自の調査研究がある程度進んできたので、その比較検討をしつつ、社会教育福祉に関する共通の理論的な枠組みについて検討していくことが、今後、必要となる。日本、東アジア、東南アジア、中央アジア、ドイツ・北欧諸国、西欧、アメリカ合衆国の調査研究を行ってきたが、それぞれの国に共通する要素と異なる要素がある。共通性と違いをどのように把握し、トータルに社会教育福祉のコンセプトを描き出していくことが今後の課題となる。そのために、国際会議を開催して、他の国の研究者と直接に意見交換をするとともに、これまでの各自の調査報告をまとめて比較検討するための研究会を開催する。最終年度に、国際会議での成果を踏まえて、海外の研究者も含めて論文を執筆し、1冊の単行本を刊行して研究をまとめる。
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