研究課題
本研究の目的は、社会学において伝統的に蓄積されてきた社会階層の調査研究の視点と、教育社会学において長らく積み上げられてきた学校調査の研究の視点を融合し、SSM調査をはじめとする従来の社会階層調査では検討できなかった教育変数をふんだんに取り込んだ『教育版SSM調査』を実施することにより、これまで学校調査で部分的にしか確認されなかった教育体験の社会階層に対する効果や、社会階層が教育体験に及ぼす影響について、全国レベルのデータで検証することである。平成23年度および平成24年度において準備してきた調査プランを実行に移すのが、平成25年度における最大の課題であった。本調査の実施に向けた手続きは、パイロット調査の実施、サンプリングの実施、調査資材の準備などを調査委託機関と連携して行い、11月に全国240地点、4800名を対象とする郵送配布・訪問回収による全国調査を実施した。様々な困難が予想されたが、調査実施上の様々な工夫を織り込むことも積極的に採用したことが功を奏し、最終的に2895名、計画サンプルベースで60.3%の有効回答を得ることができた。社会階層と教育の分析が可能な調査データとしては、近年ではもっとも良好な回収状況のデータを作ることができたということができ、実査に関してはほぼ成功したといってもよいと思われる。その後、調査データの整理やコーディングなどを行い、最終の平成26年度の分析のための準備作業が行われた。
2: おおむね順調に進展している
当初の確保目標としていた回収率50%を大きく上回る回収状況を達成できたことは「計画以上」と評価することができるが、年度内に完結する予定であったデータ整理の作業が若干次年度に回ってしまったことから、トータルな評価としては「おおむね順調」を選択した。
調査そのものは成功しているので、あとはそのデータを用いていかに有効な分析結果を提示できるかが課題となる。そのために、本年度は前半でデータの整理と基礎分析を終えたのちに、後半では学会報告や報告書執筆を計画している。
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International Journal of Japanese Sociology
巻: Vol.22(Issue1) ページ: 64-79
http://www.p.u-tokyo.ac.jp/~tknaka/survey