本研究の目的は、社会学において伝統的に蓄積されてきた社会階層の調査研究の視点と、教育社会学において長らく積み上げられてきた学校調査の研究の視点を融合し、SSM調査をはじめとする従来の社会階層調査では検討できなかった教育変数をふんだんに取り込んだ『教育版SSM調査』を実施することにより、これまで学校調査で部分的にしか確認されなかった教育体験の社会階層に対する効果や、社会階層が教育体験に及ぼす影響について、全国レベルのデータで検証することである。 前年度において実施した『教育と仕事に関する全国調査』は、純粋回収率60.3%となり、類似の調査に比べて非常に高い回収率を確保することができた。最終年度である平成26年度においては、この良質のデータを用いて研究成果をとりまとめていくこと、および今後のデータ利用のためのデータ管理体制を整えたうえで研究事業を終了することが課題となった。 前者については、分析参加メンバーによる多数の学会報告が行われたほか、調査の概要と研究メンバーによる研究成果を収めた論文集(科研費報告書)を刊行することができた。後者については、調査に付随してデータ収集がなされた訪問記録・欠票調査票のデータ化および原票のpdf化を実施した。また、本調査票についてもpdf化を行い、資料の保存体制を整えた。 今後は、こうした成果を踏まえて内外への論文発表・著書刊行を目指していくことになるが、その土台となる成果を十分に挙げることができたと考えている。
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