研究課題/領域番号 |
23244015
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
石井 仁司 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70102887)
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研究分担者 |
大谷 光春 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30119656)
長井 英生 関西大学, 工学部, 教授 (70110848)
儀我 美一 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (70144110)
三上 敏夫 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (70229657)
小池 茂昭 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90205295)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 関数方程式 / 粘性解 / 完全非線形偏微分方程式 / 最適制御理論 / 弱KAM理論 / 曲面の発展方程式 |
研究実績の概要 |
以下に研究実績の概要を列挙する.1.Freidlin,Koralovの両氏によって確率解析の手法で得られた,移流項をもつ2階準線形放物型方程式の解の準安定性に関する結果(2012年)の偏微分方程式の手法による別証明をP. E. Souganidis氏との共同研究で進め,概ね完成させた.2.ハミルトン・ヤコビ方程式(H(x,Du)=0)に対する加法的固有値問題に対する解の近似法として,対応する最適制御問題に割引率d>0を加味した最適制御問題を考えて,そのハミルトン・ヤコビ方程式(du+H(x,Du)=0)の解で近似する方法が知られているが,この解が割引率dを0に近づけるときに,H(x,Du)=0の解に収束するかという基本命題は最近まで知られていなかった.知られていた事実は,0に収束する適当な列に沿って,dを0に近づけるとき,H(x,Du)=0の解に収束するということであった.E. S. Al-Aidarous, E. O. Alzahrani, A. M. M. Younos三氏との共同研究において,有界領域上で,ノイマン型の境界条件の下で,上記の基本命題を証明した.3.生駒典久氏との共同研究で,1次元区間あるいは一般次元の球を領域とする完全非線形2階楕円型方程式に対するディリクレ,ノイマン,ロビン境界条件の下での固有値問題を考察し,任意回数振動する固有関数の存在と,正規化の下での一意性,固有値と固有関数の特徴づけなどを調べた.4.未知関数の冪乗と1次以上の増大度のある1階微分項をもった完全非線形2階一様楕円型方程式において,無限遠での増大度に制限を付けない粘性解の比較原理を得た.5.集合値摂動項を持つ準線形楕円型方程式の解の存在について議論した.特に,摂動項が,多価関数に対する連続性の拡張概念である上半連続性,下半連続性,ハウスドルフ連続性を有する場合について考察した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究組織の連携の下で,弱KAM理論,最適化問題,幾何学的非線形問題,数理ファイナンスなどに関連した非線形偏微分方程式の重要課題に取り組み,成果を着実に挙げており,本年度の研究計画を十分に達成したものと考える.
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今後の研究の推進方策 |
粘性解理論の深化に向けて,本研究組織の協力のもと,海外の研究者との共同研究も組織しながら,境界値問題,弱KAM理論.粘性解の正則性,最適化問題への応用,漸近問題への応用,幾何学的非線形問題などの課題の研究を着実に進める.今後の新しい方向性として,非線形随伴法の研究も進める.
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