研究課題/領域番号 |
23244022
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
嶋作 一大 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00251405)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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キーワード | 銀河 / 光赤外線観測 |
研究概要 |
本研究は、すばる望遠鏡次世代広視野カメラHyper Suprime-Cam (HSC) に、本補助金で製作する狭帯域フィルター NB387 (中心波長 3870オングストローム) を取り付けて、赤方偏移 z~2 (宇宙年齢30億歳の頃) の軽い銀河の 全体像を明らかにするものである。現在見られる銀河は軽い銀河が集合・合体して成長してきたと考えられてお り、30億歳の頃はそうした成長が最も顕著だったとされる時代である。具体的には、HSCで約30平方度の天域を観測して約10000個の軽い銀河を検出し、それを用いて、数密度、質量、星形成率をはじめとした銀河の性質とその環境依存性などを調べる計画である。 今年度は、昨年度の補助金の繰り越しでNB387フィルターを製作するとともに (平成23年度の実績報告)、既存のSuprime-Camのデータを用いた研究を行なった。30億歳の軽い銀河の分光データに基づいて銀河のガスの運動を調べ、軽い銀河もガスを外部の宇宙空間に放出していることや、強いライマンα輝線の原因は中性水素ガスの量が少ないことにあるらしいこと等を発見した。これらの結果は、銀河の質量成長や星形成の過程を理解する手がかりになるだけでなく、ライマンα銀河を用いた宇宙再電離の研究にも役に立つ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フィルターの製作を平成23年度から平成24年度に延期した (平成23年度実績報告) ため、フィルターの入手が約1年遅れたが、そのおかげで光学特性は当初の予定よりも高くなった。観測開始は2014年を予定しているため、フィルター製作の遅れが研究の遂行に与える影響はない。
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今後の研究の推進方策 |
Hyper Suprime-Cam (HSC) による観測は2014年から始める予定である。観測は、多数のフィルターを用いた大型サーベイの一部として行なわれるので、そのサーベイ関係者で議論して、NB387の観測天域、積分時間、観測スケジュール等を決定する。並行して、予備データを用いた研究も行ない、HSCでの観測計画の立案に反映させる。
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