研究課題
本研究は、すばる望遠鏡次世代広視野カメラHyper Suprime-Cam (HSC) に、本補助金で製作する狭帯域フィルター NB387 (中心波長3870オングストローム) を取り付けて、赤方偏移 z~2 (宇宙年齢30億歳の頃) の軽い銀河の 全体像を明らかにするものである。現在見られる銀河は軽い銀河が集合・合体して成長してきたと考えられており、30億歳の頃はそうした成長が最も顕著だったとされる時代である。具体的には、HSCで約30平方度の天域を観測して約10000個の軽い銀河を検出し、それを用いて、数密度、質量、星形成率をはじめとした銀河の性質とその環境依存性などを調べる計画である。今年度は、既存のSuprime-Camのデータを用いた研究を行なった。静止系可視領域の輝線の分光観測に基づき、30億歳の軽い銀河は、同時代の他の銀河に比べて、重元素量が低く、電離パラメータが高い傾向があることを見いだした。この結果は、これらの銀河が形成初期の段階にあることを示唆する。並行して、これらの銀河の空間分布やダスト放射の研究も進行中である。また、異なる時代に見つかった同様に進化初期と思われる銀河の研究も行った。
3: やや遅れている
フィルターの製作を平成23年度から平成24年度に延期した (平成23年度実績報告) ため、フィルターの入手が約1年遅れたが、そのおかげで光学特性は当初予定していた仕様よりも高くなった。Hyper Suprime-Camの稼働が当初の予想より遅れたため、対象天域の観測は2014年3月に始まった。
Hyper Suprime-Cam (HSC) による観測は2014年3月から始まった。その初期データを解析して、NB387フィルターの解析手法を確立したい。並行して、既存の予備データの研究 (空間分布から推定されるダークマターハローの性質、赤外データから推定されるダスト放射の性質) を進め、HSCでの観測内容や研究内容に反映させる。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (1件)
The Astrophysical Journal
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10.1088/0004-637X/780/2/122
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10.1088/0004-637X/779/1/53