研究概要 |
本研究課題は,3つの「星形成の未解決問題」を解明することである. 課題(A)に関連しては,超新星爆発等に起因する星間衝撃波により星間空間の温度一万度程度の低密度ガス(Warm Gas)や百度程度の中性水素(HI)ガスがほぼ例外なく分子を含む層に圧縮され、この層は熱的に不安定であり、微小分子雲の集合体に分裂するが,その際、微小分子雲が速度分散を持つため、分子雲で必ず観測される「乱流的な速度場」を既に示している.しかし,星間空間に存在すると思われている数μガウス程度の磁場がある場合,磁場に沿った方向に圧縮されないと分子雲の相は形成されず,HIガス雲程度の密度の磁気圧優勢の星間雲が形成される.この磁気圧優勢の雲からどのようにして磁場が抜き取られるかということを調べた.その内容についてはInoue & Inutsuka (2012)としてApJに発表された.また,拡大する電離領域などの表面に形成されるシェル状の高密度層における重力的な分裂現象について調べ,Iwasaki & Inutsuka (2011a,b)という2本の論文としてApJに発表した. 課題(B)の「星周円盤の形成過程と進化の解明」についても初年度から取り組んだ.申請者らが継続的に行ってきた星形成過程の理論的研究によって,原始星の形成過程の詳細を明らかにしてきた.この手法で円盤内に惑星サイズの天体が形成された後をさらに長時間計算することにより円盤と惑星の進化を解明した.これについては,Machida, Inutsuka, & Matsumoto (2011)としてApJに発表した. 課題(C)に関連した成果としては,原始惑星系円盤における諸物理過程をMichikoshi, Kokubo & Inutsuka (2011)やFujii, Okuzumi, & Inutsuka (2011)としてApJに発表した.
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