研究課題/領域番号 |
23244027
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
犬塚 修一郎 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80270453)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 星形成 / 惑星形成 / 系外惑星 / 原始惑星系円盤 / 磁気流体力学 / 輻射流体力学 / ガス惑星 / ハーシェル宇宙望遠鏡 |
研究概要 |
本研究課題は,以下の3つの「星形成の未解決問題」を解明することである.(A)いつどのようにして重力収縮は始まるのか?(B)どのような星周円盤が形成され進化するのか?その結果として,大質量星の形成は円盤を通じての多大なガス降着で理解できるのか?(C)星周円盤においてどのような巨大ガス惑星が形成され,生き残るのか? 課題(A)に関連しては,星形成がフィラメント状の分子雲で進行するという描像を研究代表者は長年主張してきた.近年のハーシェル宇宙望遠鏡などによる観測の進歩により,この描像は決定的なものとなった.これに関して,星・惑星系形成過程の研究において最も権威のある国際会議"Protostars & Planets VI"におけるレビュー・チャプターをフランスの電波天文学者Philippe Andre氏らと執筆した.今後も継続的に発信し続けることにより,これが星形成の分野における新しい基本シナリオとして位置づけられることを努めている. 課題(B)の「星周円盤の形成過程と進化の解明」についても,これまでの散逸入り磁気流体力学的シミュレーションだけでなく,輻射流体力学による研究成果もMNRAS誌に発表した.また,それを実行するためのSPH法による散逸入り磁気流体力学的計算法をMNRAS誌に発表した. また,課題(C)に関連した成果としては,大学院生らと共に計算した巨大ガス惑星からの質量流失についての論文をApJに投稿し,査読結果を受けて,再投稿済みであり,まもなく受理されると期待している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホットジュピターの存在下での地球型惑星の合体・成長と軌道進化を、周囲の原始惑星系円盤との重力的相互作用を考慮に入れたN体計算によって調べた。計算の結果、ホットジュピターはその軌道の外側に形成した地球型惑星によって中心星の恒星方向に追いやられ、最終的には恒星と衝突して飲み込まれるというメカニスズムを発見した。このメカニスズムを惑星系形成理論に導入すると、系外惑星観測結果の重要な特徴である「ホットジュピター近傍での惑星欠乏」を自然に説明することが可能である。なお、この成果については11月に記者会見を行い,毎日新聞等で報道された。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年10月に星周円盤形成過程の研究において、当初の予測と異なり、固体微粒子進化の数値計算に長けた研究協力者を必要としたため平成25年12月までに確保する予定だったが、適任者が見つからず、分子雲形成とガス惑星形成過程の研究に取り組む割合を増やした。数値計算に長けた研究協力者を早期に採用して研究を遂行し、取りまとめを行う。
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