研究課題/領域番号 |
23244034
|
研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
郷田 直輝 国立天文台, 光赤外研究部, 教授 (50202073)
|
研究分担者 |
辻本 拓司 国立天文台, 光赤外研究部, 助教 (10270456)
矢野 太平 国立天文台, 光赤外研究部, 助教 (90390624)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 位置天文学 / 銀河系 / 宇宙物理学 / 天文 |
研究実績の概要 |
1. コミュニティによるコアグループの形成とコミュニティの拡大: コアグループにより、JASMINEで期待できるサイエンスの検討を25年度に引き続き行った。特に、小型JASMINEによって期待できる、銀河系中心付近での天体現象に関する科学的成果については、専門家を交えて詳細な検討を行ってきた。 2. Nano-JASMINEによる銀河系研究:Nano-JASMINEで期待できるサイエンスに関する検討は、コミュニティによる検討会を25年度から継続していて26年度にも2回開催したが、参加者の拡大もみられた。さらに、重星や長期的周期の連星の解析、VERAプロジェクトとタイアップしたメーザー源の内部運動の解析など科学的対象がより具体化してきた。 3. 小型JASMINE等による銀河系研究:将来の小型JASMINEやGaia計画などの観測データに備えて、銀河系バルジの構造と形成史、ダークマターを含む力学構造の構築、巨大ブラックホール形成、重力レンズといった位置天文学に関連する幅広い分野に渡って、共同研究者と連携しながら25年度に引き続き検討を進めた。特に、銀河系中心付近での天体現象に関しては、科学目的と達成目標がより具体的かつ定量的に明確になった。さらに、ガンマ線連星系の解明、系外惑星探査などについても引き続き検討が進み、小型JASMINEによって何がどの程度の信頼度で解明できるかが明らかになってきた。 4. 国際連携: ヨーロッパのGaia衛星との連携が継続しているとともに、米国の次世代衛星計画であるWFIRSTによる位置天文観測の計画に対してもWFIRSTメンバーとの情報交換を行った。 5. プロジェクトへの反映:銀河系中心での科学的成果の検討結果を反映して、銀河系中心方向の観測に対して、観測領域や要求される観測精度の見直しが行われ、新たなミッション要求案ができてきた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
位置天文観測データを用いた銀河系研究など幅広い分野の研究を行うコミュニティのコアメンバーによる実際のサイエンス検討の進展は予定通り順調に進んだ。 小型JASMINEによって期待できる、銀河系中心方向のサイエンスについては、専門家を交えて詳細な検討を行った結果、科学目的と具体的目標をより具体的かつ明確にすることができてきた。 さらに、本科研費で雇用している特任研究員によって、小型JASMINEでの科学的成果の検討が進み、26年度では、大質量X線連星、またはガンマ線連星に対して高密度星が白色矮星・中性子星・ブラックホールのどれかを判定できる信頼度が見積もられた。 さらに、計画通り、海外のプロジェクト、特に、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の大型位置天文観測衛星計画であるGaiaチームとの密な連携は継続し、米国の地上分光観測を行うAPOGEEプロジェクトや次世代衛星計画であるWFRSTチームとも情報の交換を行った。また、高精度位置天文観測データから銀河進化を解明する戦略に関して、ウィーン大学の研究者との共同研究を開始した。
|
今後の研究の推進方策 |
基本的には、計画通り進める方針であるが、Nano-JASMINEで期待できる科学成果の検討と成果を出せる準備をより具体的にしてとりまとめを行う。さらに、小型JASMINEで期待できる科学的成果についてもより具体化、精密化を進め、とりまとめる。また、国際連携も継続していく。
|