研究課題
本研究で製作する「太陽全面を視野として、広帯域分光偏光測光の手法により太陽における多高度観測を定常的に行う」装置は、仕様としては、シーロスタットからの太陽光を導入した室内に装置を展開し、太陽全面をカバーする視野を持つ望遠鏡と可視光~近赤外線の3900~9000Åの広帯域に対応したポラリメーター・分光器を用い、分光偏光測光を複数波長同時に行って、太陽全面の様々な情報(輝度・プラズマ運動・偏光)を得るものである。本年度は基本的に装置製作の継続である。特に実験の面で進捗があったのは偏光観測に用いる機器の開発においてであり、高速モジュレーションを可能にする回転波長板による偏光変調機構について、試作版を京都大学の装置へに組み込んでの試験を行ってきた成果を国際会議で発表するとともに、京都大学における実験も引き続き行っている。また、偏光変調機構を既存のシーロスタットに設置し、将来の偏光検出装置として期待される時間相関カメラでの偏光観測実験を、東京大学安藤研と共同で行った。偏光変調装置は最終的には広帯域対応のものを設置する予定であるので、そのためのアクロマチック波長板の設計・製作をメーカーに発注して実施した。また本計画において設置する分光器の各種部品についても調達を進め、合わせて設置場所たる既存の実験室の改造を国立天文台において行ってもらうための検討および予算要求を行った。さらに、日本国内において定常的な太陽観測を行っている機関(京都大学・情報通信機構)、本研究において製作する装置の共同での利用を検討できる機関(京都大学)との連携を図るための打ち合わせを継続している。なお、特に今年度は将来においてより本格的な太陽全面観測を日本の諸機関で連携して行うための検討が進み、具体的な提案を天文宇宙コミュニティに対して行うことができた。本研究ではその基礎となる研究を目指すものでもある。
2: おおむね順調に進展している
24年度はそれまでに進めてきた設計検討に基づき装置製作を開始する段階という位置づけであり、物品の導入や基礎的な実験を進めてきたが、特に、装置の中で重要な位置を占める偏光測光に関する諸装置について上記のように実験を進めることができた。また技術的な基礎検討も進んでおり、成果を上げている。
計画に沿って、主として25年度には開発実験を進めるとともに建物内への実装に関連する物品の導入を行い、最終の26年度には本研究による装置一式を用いた、太陽光を導入した実験を開始する予定である。
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