研究課題
本研究で製作する「太陽全面を視野として、広帯域分光偏光測光の手法により太陽における多高度観測を定常的に行う」装置は、仕様としては、シーロスタットからの太陽光を導入した室内に装置を展開し、太陽全面をカバーする視野を持つ望遠鏡と可視光~近赤外線の3900~9000Åの広帯域に対応したポラリメーター・分光器を用い、分光偏光測光を複数波長同時に行って、太陽全面の様々な情報(輝度・プラズマ運動・偏光)を得るものである。平成25年度にて実施したのは、装置個別コンポーネントの調達・製作と、分光器の本格的な設置の前半である。本装置を設置するシーロスタット実験室の改造が国立天文台によって行われ、それと並行して回折格子周辺機器の製作を進めるとともに機器設置のための定盤を導入し、実験室改造終了後に設置を始めた。また、実験的に製作をしている偏光変調機構についても、カメラやアクロマティック偏光変調装置など新たな実験装置を準備して、京都大学の装置へに組み込んでの試験を行った。太陽光導入に用いる既存のシーロスタットの、特に制御機構部について本装置用に改造するための検討も行った。本装置に関連する研究成果は国際会議等でも発表しており、さらに、日本国内において定常的な太陽観測を行っている機関(京都大学・情報通信機構)、本研究において製作する装置の共同での利用を検討できる機関(京都大学)との連携を図るための打ち合わせを継続している。本研究は、太陽にとどまらず惑星間空間をも含めた太陽圏研究に、天文・太陽コミュニティが太陽全面観測を日本の諸機関で連携して行うことで貢献していくためのプロトタイプ装置としての意味もあるが、この連携研究実現へ向けての具体的検討も進んでいる。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度は装置製作を実施に移すと共に、装置設置の場所の整備も行った。一方研究発表を行う機会を得、基礎的な実験についても進めており、計画に沿って順調な進捗を得ている。
計画に沿って、最終の平成26年度には装置設置の後半部分となる作業を実施して本研究による装置一式を完成させ、太陽光を導入した実験を開始する予定である。
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