研究課題
基盤研究(A)
平成23年度においては、これまで続けて来た中質量巨星約300星の視線速度モニター観測を継続・拡張した。そのため岡山天体物理観測所188cm望遠鏡で約80夜の観測時間を獲得した。そこからG型巨星HD175679が褐色矮星質量の天体を伴うことが明らかになった。また、G型巨星HD100655では、これまで中質量星に見つかった中で最も軽い惑星候補が周回していることが明らかになった。これらの結果は、中質量星では重い伴天体が見つかりやすいというこれまでの観測的示唆をさらに強化し、また、これまで見つかっていなかった、木星質量程度の比較的軽めの惑星が中質量星の周りで形成され得ることを初めて観測的に示した。一方、平成24年度に188cm望遠鏡とドームを改修し、観測機能強化と一定の自動化を実現する予定である。そのため機械系・電源系を詳細に調査し、制御系改修内容の詰めを行った。特に、188cm望遠鏡の赤経軸と赤緯軸のまわりの駆動特性を詳細に調べ上げた。このために、赤経軸と赤緯軸のそれぞれに、相対的に0.06秒角と0.05秒角という超高分解能で、軸直結のガタなしで、絶対的な角度測定誤差も最大で1.1秒角と1.3秒角という、大型の角度読み取り器(エンコーダー)を補助金で導入した。この調査から赤経・赤緯の二軸は機能強化・自動化に十分に耐えうる堅固で高精度なものであることが分かった。他方、共同利用ユーザーへの改造計画の周知を進め、工事日程に関わる意見回収を行い、共同利用観測の日程と改造工事の日程の間の調整を進めることができた。
2: おおむね順調に進展している
平成23年度は、現有の観測システムをそのまま使って中質量巨星の惑星系を探索する計画であった。実際、計画通りに惑星系の探索を進めることができている。結果として褐色矮星質量や惑星質量を持つと期待される天体の検出に至っている。従って、惑星系探索の面で研究は順調に進展しており、研究の目的も予定通りに達成されていると判断する。しかしながら、平成23年度の東日本大震災の影響で、188cm望遠鏡改修に関する検討に若干の遅れが生じているため、(1)でなく(2)とした。
平成24年度も予定通り、これまで続けて来た中質量巨星の視線速度モニター観測を現有の観測システムで継続・拡張する。そのため年間80夜前後の観測夜数を確保する努力を続ける。Vバンドで7等級より明るいおよそ600星のG,K型巨星の精密視線速度測定を推進するため、観測時間の獲得や融通に努力する。観測時間の確保のためには、国際協力を進めることも検討する。一方、平成24年度には、188cm望遠鏡とドームを改修することで、観測機能強化と一定の観測自動化の実現を推進する。また、それに先だって、改めて共同利用ユーザーへ改修計画を周知し、ユーザーの意見を回収する。そして共同利用観測と改修工事の日程調整を進める。改修作業に伴う各種測定作業ならびに自動化開発作業のため、本補助金を用いて短時間契約職員を雇用する。なお、平成23年度の東日本大震災の影響で生じた改修作業の若干の遅れについては、一部作業を平成25年度に繰り越すことも視野に入れつつ改修計画を推進する。
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