研究課題/領域番号 |
23244045
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
相原 博昭 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60167773)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 素粒子実験 / Bファクトリー / タウレプトン / 異常磁気能率 |
研究概要 |
第三世代レプトンであるタウレプトンの異常磁気能率の測定によって新物理探索を行う研究を行っている。荷電レプトンの異常磁気能率(スピン1/2 の点電荷粒子のDirac 磁気能率からのずれ)の精密測定は、標準理論の厳密な検証となる。また、新物理の異常磁気能率への寄与は、新物理の発現するエネルギースケールをΛ とすると、レプトン質量(ml)とΛ の比の二乗(ml/Λ)2 に比例する。タウレプトンの質量は、ミュオンの質量の約17 倍であり、新物理に対してその二乗、約290 倍の感度を有する。われわれはKEK B ファクトリー加速器で得られた約9 億のタウ反タウ対を使ってタウレプトンの異常磁気能率をこれまでの10 倍の精度で測定する。KEK B ファクトリーにおけるタウレプトンの輻射レプトン崩壊を用いてタウレプトンの静的な(on mass-shell)性質である異常磁気能率F2(0) = aτ を10-3 の精度で測定し、かつ、フレーバーに強く依存する新物理の可能性について制限を与える。副産物として、輻射レプトン崩壊の分岐比の精密測定から、τνW 結合の非標準理論モデルについても制限を与えることができる。さらに、タウレプトンのレプトン崩壊のパラメータであるMichel パラメータを従来の10 倍の精度で(例えばρ パラメータを10-3 の精度で)決定する。これによって、荷電カレントの非標準理論モデル(例えば右巻きカレント)に対してもきわめて厳密な制限を与えることができる。 この解析プログラム開発のために必要なタウレプトン崩壊事象のシミュレーションが完成し、模擬事象を大量に(1000万事象程度)生成することに生成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モンテカルロシミュレーションに必要な計算機環境が整ったため。
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今後の研究の推進方策 |
タウレプトンの崩壊パラメータ(Michelパラメータ)測定用の多重度最尤フィットの正しさをシミュレーションデータによって確認した後、データに適用する。
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