研究課題/領域番号 |
23244057
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
北澤 良久 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (10195258)
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研究分担者 |
磯 暁 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (20242092)
西村 淳 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (90273218)
土屋 麻人 静岡大学, 理学部, 准教授 (20294150)
青木 一 佐賀大学, 工学研究科, 准教授 (80325589)
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キーワード | de Sitter時空 / 赤外量子効果 / ブラックホール / メンブレン / AdS/CFT対応 / ローレンツ版IIB行列模型 / 3+1次元 / 膨張する宇宙 |
研究概要 |
de Sitter時空上の場の理論には、スカラー場や重力子がスケール不変なスペクトラムを持つ事に付随する興味深い赤外量子効果が存在する。この特徴はインフレーション理論において構造形成の種を生成するなめに不可欠であるが、物理定数に時間依存性をもたらす可能性がある。非線形シグマ模型において、有効宇宙項の時間依存性を研究した。リーディングの赤外量子効果は、摂動の全次数で相殺する事を示した。 ブラックホールを記述するのに、地平面近くに仮想的な膜(メンブレン)を考える見方がある。古典的なメンブレン作用に量子効果を取り入れることで、通常要請される入射波境界条件が、確率的なランジュバン方程式に置き換わることを明らかにし、それを使ってメンブレン作用の搖動散逸定理やそこから導かれる非平衡揺らぎの定理を導いた。 RxS3上のN=4超対称ヤン・ミルズ理論を計算機にのせて、N=4超対称ヤン・ミルズ理論の強結合領域の数値シミュレーションを行い、AdS/CFT対応とconsistentな結果を得た。 ローレンツ版のIIB行列模型が矛盾なく定義されることを示した。具体的にはカットオフを導入して経路積分を定義し、ラージNの極限でこのカットオフを取り除けることを示した。さらに、時間および時間発展がダイナミカルに生成されることを見出すとともに、ある臨界時刻浴存在して、その時刻以降は空間のSO(9)対称性がSO(3)に自発的に破れて、3+1次元の膨張する宇宙がダイナミカルに出現することを発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
de Sitter時空上の場の理論の研究に関して、非線形シグマ模型におけるリーディングの赤外量子効果の相殺機構を摂動の全次数で証明することができた。ローレンツ版のIIB行列模型において、時間および時間発展がダイナミカルに生成されることを見出すとともに、ある臨界時刻が存在して、その時刻以降は空間のSO(9)対称性がSO(3)に自発的に破れて、3+1次元の膨張する宇宙がダイナミカルに出現することを発見した。
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今後の研究の推進方策 |
de Sitter時空上の場の理論の研究に関しては、量子重力の効果を研究し、物理定数の時間変化などその帰結の理解を深める。またホライゾンに付随する量子効果を非平衡物理の観点から更に研究する。ローレンツ版のIIB行列模型において、3+1次元の膨張する宇宙がダイナミカルに出現する機構を明らかにする。
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