研究課題
1、コヒーレント物質制御のための光源開発;前年度までに進めてきたパルスの波形整形、キャリアエンベロープ(CEP)位相制御の高精度化を行った。パルス幅6 fs(1.3サイクル)、キャリアエンベロープ位相の精度rms=220mradを達成した。また、高強度化により試料表面上における瞬時電場強度60 MV/cmの印加が可能になった。2、コヒーレント瞬時強電場による電子の局在化;前年までに開発を行ったCEP安定化7 fs(1.5サイクル)パルスを用いて、二次元有機伝導体の金属相を励起し、瞬時電場強度10 MV/cmの印加により、金属から電荷秩序絶縁体への変化を起こすことに成功した。また、この現象を、高周波振動電場による移動積分の減少である”動的局在”によって説明した。動的局在は、30年以上前に提案された理論であるが、実験的に観測されたのは世界で初めてのことである。(Ishikawa et al., Nature commun. 2014)。数多くの研究がなされてきた電荷秩序の光融解に対し、電荷の凍結、秩序化はその逆過程であり、光誘起相転移の研究に新たな可能性を拓いたと言える。3、理論:大きな電場振幅をもつ光の場合、パルス励起でも動的局在に似た電荷移動抑制現象が起きることが前年度にわかっていたが、本年度は前年度に扱った模型を簡素化して、厳密対角化でも扱える1次元電子フォノン系を使って系統的に理論計算を行った。これまで高エネルギー準位を選択的に占有する負温度状態は、ダイナミカル位相シフトが小さいパルスでは形成しにくいと信じられていたが、そうではなく、ダイナミカル位相シフトがゼロとなる対称モノサイクル・パルスでも負温度状態を形成できることを初めて示した。それと同時にオン・サイトやサイト間の電子間相互作用や電子フォノン相互作用を実効的に反転したような状態が現れることも示した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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