研究課題/領域番号 |
23244063
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
末元 徹 東京大学, 物性研究所, 教授 (50134052)
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研究分担者 |
中嶋 誠 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40361662)
西野 正理 独立行政法人物質・材料研究機構, 理論計算科学ユニット, 主幹研究員 (80391217)
南 康夫 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), その他 (60578368)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | テラヘルツ / スピン / 強磁性共鳴 / コヒーレント制御 / 相転移 |
研究概要 |
本計画では,超短パルステラヘルツ(THz)電磁波の磁場成分とスピンの直接的な相互作用を利用して磁気秩序の制御とダイナミクスの研究を行う. 初年度より開発を始めた空気プラズマを利用したTHz光源は、2波長波長板の導入により、出力増強に成功し、その手法を論文として公表した。非線形光学結晶を利用した光源は、集光光学系の大幅な改良を行って、定常的に200kV/cmのテラヘルツ電場を発生できる状態になり、現在、磁性体および半導体における非線形効果を探索する段階に入っている。 オルソフェライトに関しては、ErFeO3、DyFeO3の良質な結晶を作成できるようになり、ErFeO3では、温度変化によるスピン再配列転移を、テラヘルツ波自由誘導放出(FID)により検出することに初めて成功した(論文発表)。これにより、スピン再配列転移をピコ秒の時間で検出することが可能になり、熱に影響されないスピンダイナミクスの研究に道を開くことができた。 この試料に関しては、更にポンププローブ法による時間分解測定を実施している。DyFeO3は、Er系と異なり、スピンが不連続的に向きを変える転移を起こす。この物質についてもテラヘルツ放射によるスピン配列転移を観測することに成功した。 近接場テラヘルツ分光による空間分解を試み、金属探針を利用して、磁場成分マッピングで回折限界を遥かに超える空間分解能が得られることを実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は非線形光学結晶を用いる光源の出力が不足であったが、光学系の大幅な改造とパラメータの再検討作業により、実用レベルの強度に達した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、研究メンバーの大幅な交代があったので、一時研究が停滞したが、2012年11月より特任助教(この科研費で人件費の一部を負担)を加えたことで研究体制が復帰した。研究の残りの期間はこの体制を維持する予定である。
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