研究課題
放射光X線回折を用いた精密解析を通して,強相関電子系物質の平衡状態の研究を行うことが本研究の目的であり,そのための測定装置の高度化,解析手法の開発及び興味深い物性を示す物質群の測定を行ってきた。すなわち,SPring-8の高エネルギーで高品質の放射光X線を用いた世界的にも他に類のない高精度のデータを観測可能な大型イメージングプレート回折計を用いた構造物性研究である。研究期間内には多くの物質群の測定を行ったが,特異な結晶構造中の軌道分裂を利用した酸化物蛍光体の開発,希土類元素の含有量を極力抑えた40K級の転移温度を持つ鉄砒素系超伝導体の発見など,応用上も重要な新規物質開発にも多大な貢献が出来た。特に最終年度の今期は,スピンと軌道の自由度が極低温まで凍結しない平衡状態を維持するという学術的にも注目度の高い量子液体状態を示す銅酸化物の構造物性研究を集中的に行った。この量子液体状態は,数千度のエネルギー利得を得るために対称性の低下を生じるヤン-テラー活性な二価の銅イオンにおいて実現しており,固体物理の常識を覆す大きな発見である。この銅酸化物系では,軌道秩序を生じる相と低温まで軌道液体を保持する相との対比を行うことが出来たために,その発現機構の解明は比較的簡単であると予想して研究を進めたが,極めて特異な電子状態であるために,その研究は難解を極めており,現時点では単結晶を用いた各種物性測定を結集した論文を投稿中である。また,これらの研究を起点として,特に強相関電子系における電荷揺らぎの重要性がクローズアップされてきて,励起子絶縁体の圧力下超伝導の発現機構解明など,更なる研究展開が始まっている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
http://www.mcr.nuap.nagoya-u.ac.jp/
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