研究概要 |
量子力学的制御によって実現される超精密位相測定=アダプティブホモダイン測定の研究を行い、それにより、メトロロジーのみならずコヒーレント光通信、さらにはその量子版である量子コヒーレント光通信の分野創出に貢献するのが本研究の目的である。本年度は、昨年度に成功した、位相スクイーズド状態を用いた広帯域アダプティブホモダイン測定である位相追跡に関して論文にまとめ、その論文がScienceに掲載された(H. Yonezawa et al., Science 337, 1514 (2012))。これは、時間的に変化する光の位相を、標準量子限界を破って測定できるため、量子版コヒーレント光通信に応用することができる。また、この手法を応用して、ミラーが時間的に変動するマッハ・ツェンダー干渉計において、ミラー位置、速度、およびそれに掛かる力を、標準量子限界を超えて推定することに成功した。理論的解析や論文化は来年度に行う予定である。 導波路OPAから発生するスクイーズド光のうち、最大スクイーズ空間モードを選択する方法を開発した。その方法は、アニーリング法と呼ばれるもので、スクイーズレベルが増加するようにホモダイン測定のローカルオシレーター光の空間モードを空間位相変調器(SLM)で逐次変化させ、最大スクイーズの空間モードを最終的に割り出す方法である。今年度は、アニーリング法により、ローカルオシレーター光の空間モードをTEM01に近づけることができることを確認した。
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