研究課題/領域番号 |
23244088
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
瀬戸 秀紀 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (60216546)
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研究分担者 |
荒木 武昭 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20332596)
小貫 明 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (90112284)
貞包 浩一朗 立命館大学, 理工学部, 助教 (50585148)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ソフトマター物理 / 化学物理 / 中性子散乱 / 物性理論 / 溶媒和効果 |
研究概要 |
【非イオン性界面活性剤系の構造形成における電荷の効果】 60℃付近でスポンジ相となる非イオン性界面活性剤C12E5の10%水溶液に拮抗的な塩を加えることにより、ラメラ構造に転移することを明らかにした。これは界面活性剤膜の膜内あるいは膜間の電気的相互作用が構造変化をもたらしたことを示す。またこのラメラ相にずり流動を加えることにより「ずり粘稠化」が起きることが分かった。 【水と有機溶媒に拮抗的な塩を加えた系のずり粘稠化】 水と3メチルピリジンに拮抗的な塩を加えて得られるオニオン構造にずり流動を加えることにより、ずり粘稠化が起きることが分かった。自発的にオニオン構造ができる系でずり粘稠化が起きると言う実験事実はこの系が初めてである。 【自発的に運動する界面で形成されるラメラ構造】 イオン性界面活性剤STACを含む水の上にパルミチン酸を含むテトラデカンを浮かべると、その界面が自発的に運動することが我々の研究から分かっている。最近の実験により、まず水と油の界面で長周期ラメラ構造が形成され、それが短周期ラメラ構造に変化する過程で自発的な界面運動を起こしている、と言うメカニズムを示唆する結果を得た。 【高分子電解質の電気浸透現象】 正に帯電した高分子電解質の溶液を負に帯電した壁面を持つキャピラリーに封入し、その電気浸透現象を理論的に調べた。その結果、高分子濃度が高くなると溶液の粘性が増大するため、壁付近では流れにくくなる。塩が十分に少なく、また高分子電解質の電荷数が十分に大きい場合、電気浸透係数が通常とは異なり負の値を取りうることを見出した。 【水和効果を考慮した電離現象と化学反応の理論】 電極が存在する系で使うことのできる分子動力学法を考案し、イオン結晶の電場による破壊や双極子の鎖状の連結形成、極性流体における局所電場などの実例を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究支援員を雇用して研究を進める計画であったが、都合により昨年度途中(6月末)限りで退職したため。
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今後の研究の推進方策 |
研究分担者だけでなく連携研究者(海外を含む)とも協力して進める。具体的には、以下の通り。 1) 非イオン性界面活性剤水溶液に塩を加えた場合の構造変化とずり粘稠化については、アメリカ標準技術研究所の長尾道弘博士と首都大学東京の川端庸平博士と協力して、中性子小角散乱及び顕微鏡実験を行う。 2) 水/有機溶媒/塩のオニオン相のずり粘稠化については、ドイツのミュンヘン工科大の原子炉において実験を行う。
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